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『室井慎次』想像以上の新キャラ誕生 脚本・君塚良一が絶賛する“本広演出”の妙

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月15日 7時3分

 「踊るプロジェクト」12年ぶりの新作映画『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』(全国公開中)。社会現象を巻き起こした「踊る大捜査線」に登場した室井慎次(柳葉敏郎)が主人公の2作は、27年前の連続ドラマからほぼ全てのシリーズ作品の脚本を書き続けた君塚良一の室井に対する思いから誕生した。“最後の室井慎次”の物語を書き終えた君塚が、「踊る大捜査線」への想いや『室井慎次』に登場するキャスト&キャラクターについて語った。(以下、『敗れざる者/生き続ける』のネタバレを含みます)

室井慎次は“柳葉敏郎の生き様が滲み出た”キャラクター

 「室井慎次という人間の長い物語の、最後のチャプターを作りたかった。今作はそういう、あくまでパーソナルな僕の思いが発端です。それを形にすることができたのは、とてもよかったと思います」と君塚はすがすがしい表情を見せる。「踊る」シリーズの生みの親ともいえる君塚は、「僕は彼がすごく好きなんです」と明言する。

 君塚から見た室井の魅力とは何なのだろうか。「俳優自身の生き様が滲み出ちゃった役なんです。室井は、もともと官僚で悪役ですから。あの立ち位置なら、ふつうは最後に改心するくらいなんです。それが、どんどん青島(俊作/織田裕二)や現場の人間にシンパシーを感じて、柳葉さんのもともと持っている人情味や、人をきちんと見ようとするところが滲んできた。成長したり膨らんだりして深くなっていったんです。僕らも、それに応えられるようにしました」と室井というキャラクターの構築過程を明かした。「そういう役を、当たり役っていうんですよね」

 今作には、その室井に協力する形で、秋田県警本部長の新城賢太郎(筧利夫)と警察庁官房審議官の沖田仁美(真矢ミキ)が登場する。「僕の中では、彼らのキャラクターは完全に手の内にあるから、いまどうなっているかもぜんぜん迷わないんです。ポイントで物語を進めていくエンジンになっています。あとは友情ですよね。新城は室井側に行っちゃった男で、出世競争に負けてしまう。沖田は冷静に見ていて、でも心の奥では室井に共感しています。僕は彼らも好きなんですよ」

 さらに、今作では「踊る」史上最悪の猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘・杏を、福本莉子が演じている。「ああいう強烈な人間は、ハリウッド映画でも続編とかで、息子とか兄弟が出てきますよね。演じるのはなかなか難しいんですが、福本さんはとても素晴らしかったと思います。真奈美に似て見えるのは、彼女の演技力ですよね」と絶賛。また「真奈美は刑務所に入っていますが、『やっぱり登場させようよ』となりました。そういうファンサービスを忘れなかったのが『踊る』なんですよね。今回、最初の段階では僕の個人的な思いで動いて、それを忘れかけていましたけど、やはり違うと思って、湾岸署の仲間たちも少し顔見せしましょう、となりました」と湾岸署にいた緒方薫(甲本雅裕)や森下孝治(遠山俊也)の登場理由を明かした。

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