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『室井慎次』無線パートに隠された秘話とは?狙いとお約束があった

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月11日 17時15分

 「踊る大捜査線」シリーズで警察官僚だった室井慎次の退職後を描いた本広克行監督作『室井慎次 生き続ける者』(全国公開中)に、『ONE PIECE FILM RED』の監督の谷口悟朗が参加。谷口は同作クライマックスで、猛吹雪の中で行方不明となった室井を探すオフシーンの捜索隊員の無線の声のアフレコ演出を担当した。今回の仕事で初めて会った本広監督と谷口監督が、初タッグの経緯や同シーンの狙いなどを明かした。(取材・文:天本伸一郎、写真:高野広美)

初タッグの経緯と谷口監督起用理由

Q:お二人は現・日本映画大学の先輩後輩だそうですね。

本広:1期違いなので食堂などですれ違っていたかもしれないけど、学生時代は全く知らなかったし、後輩だと知った後も、繋がるところはないだろうと思っていました。でも、今回の梶本圭プロデューサーが『ONE PIECE FILM RED』のプロデューサーでもあったので、谷口監督を知っていたんです。

谷口:私が日本映画大学の前身の日本映画学校の1期生で、本広さんの方がさらにその前身の横浜放送映画専門学院の最後の15期生。今回は、ある日いきなりLINEで不穏な連絡がきて、来るべきものが来てしまったなという感じで(笑)。

本広:捜索無線の掛け合いのシーンを、声優さんを使ってアニメのように畳みかける演出にしたいけど、そんな演出力はまだないから、アニメのプロの演出家の方にお願いした方が絶対にいいと思うんだよ……みたいな話をしていたら、梶本プロデューサーが谷口監督にいきなりLINEで直接お願いしちゃって(笑)。でも、『ONE PIECE FILM RED』は「まさにこんな演出!」と思ったので、ぜひお願いしたいなと。

Q:本広監督はアニメの演出もされていますよね?

本広:声の演出は難しいんですよ。アニメの現場での僕は総監督なので、各分野のスタッフを集めて統括する役割だし、僕が所属するProduction I.Gでは、声の演出は音響監督の方にお任せしていることが多いんです。

谷口:最初は収録方法などの質問にお答えするだけかと思ったら、それだけじゃすまなくて(笑)。日本のエンタメ史に名を刻む『踊る大捜査線』の世界に、いきなりお邪魔してよいのかと思ったし、本広監督がどんな人かもわからなかったので、もしもコミュニケーション不可能な方だったらどうしようとも考えました(笑)。でも、実写映画の中で声優を使うのは、経験としても面白い機会だなと。

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