デンゼル・ワシントン、ホームレス救出からハリウッドの光と影まで貫く信念
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月12日 15時38分
先月、驚きのニュースが世界中を駆け巡った。名優デンゼル・ワシントンが俳優業からの引退を宣言したのだ。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(2024年)では最凶の悪役を怪演していただけに、この知らせは衝撃的だった。デンゼルが語ったところによると引退は数年以内、そして残りの出演作も決めてあるという。すでに撮影済みの黒澤明監督作『天国と地獄』(1963年)のリメイク版を含め、数本のラインナップが語られた。その中にはマーベル映画『ブラックパンサー』シリーズ(2018年~)の続編が含まれおり、これまた世界中の映画ファンを驚愕させた。
そんなデンゼルの思いは尊重したいが、やっぱり惜しいと思ってしまうのがファンの心……などと、思っていたら、さらに驚くべきニュースが入って来た。デンゼルが『イコライザー』(2014年)の新作を撮るというのだ。しかも「4」「5」と2本連続で。同シリーズはデンゼル演じる元凄腕工作員ロバート・マッコールが、悪党を容赦なく抹殺していくアクション映画であり、ここ日本でも人気の大ヒットシリーズだ。そしてデンゼルはこう語っている。「多くの人々は『イコライザー』が大好きなんだ」「みんな私に悪を懲らしめてほしいと望んでいる。“我々にはできないから、やってくれ”と。だから私は“オッケー、やるよ。必ず復帰するから、少しだけ待っていてくれ”と答えるんだ」この発言から察するに、ファンに激しく背中を押されての決断だったようだ。さすがデンゼル! と拍手を送らざるを得ない。いつだってデンゼルは“こう”なのだ。我々ファンの期待に応え続けてくれている。
デンゼルのデンゼルらしさを物語るエピソードは、枚挙にいとまがない。ここ数年でもいくつかデンゼルらしさ全開の行動が世界中で目撃されている。コロナ禍に陥った2020年。デンゼルは道端を徘徊している黒人ホームレスの男性を保護し、駆けつけた警察官に事情を説明したうえで、その場に留まって事態の収束を最後まで見守っていた。アメリカと言えば銃である。こういう場面でも一歩間違えば命取りになりかねないが、彼は人を助けるための行動を躊躇しなかった。それが、デンゼルなのだ。
ウィル・スミスが起こしたアカデミー賞でのビンタ事件も記憶に新しい。司会のクリス・ロックにビンタをかまして動揺するウィルのもとへ、いち早く駆けつけたのはデンゼルだった。そしてデンゼルはウィルに「人生最高の場面で、悪魔は囁く。気をつけるんだ」と、大塚明夫の吹き替えの声が聞こえてきそうな言葉をかけたという。そしてデンゼルは駆けつけた俳優仲間たちやウィルと共に、神に祈りを捧げた。このおかげか、ウィルは最優秀主演男優賞を受賞したのだが、壇上で無事にスピーチを終えることができた。
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