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『室井慎次』本広克行監督、君塚脚本は“聖書” 想像の数段上をいく内容「簡単には変えられない」

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月17日 6時46分

 「踊るプロジェクト」12年ぶりとなる新作映画『室井慎次 生き続ける者』が、前編にあたる『室井慎次 敗れざる者』ともに大ヒットを記録しており、先日「踊る大捜査線」シリーズ最新作『踊る大捜査線 N.E.W.』の製作も発表された。『室井慎次』2作のメガホンを取り、「踊る」シリーズをけん引してきた本広克行監督は、いま、何を思うのか。『生き続ける者』が公開されたからこそ話せることを、本広監督が打ち明けた。(以下『敗れざる者/生き続ける者』のネタバレを含みます)

脚本家・君塚良一は「父親みたいな存在」

 本広監督は「君塚(良一)さんの脚本は“聖書”みたいに思っているから、簡単には変えられないんですよ」と「踊る」シリーズに臨む際の心構えを語る。「ほかの脚本家だったら『このほうが面白いよ』『こうしようよ』ってガンガン言えるんですけど、君塚さんの場合は、君塚さんがおっしゃることをメモしています(笑)。僕は君塚さんの脚本で育ったようなものなので、父親みたいなんです」と多大な尊敬を示す。「君塚さんは『演出家としては、本広監督が師匠だと思っている』と言ってくださるんですけど、とんでもない。ずっと怒られているほうが気が楽です(笑)」

 実際、君塚良一本人はシネマトゥデイのインタビューでも本広監督の手腕を絶賛していたが、本広監督の感じ方は違うようだ。

 「そういうのもあって、『室井慎次』2作は最初お断りしたんです。君塚さんの深い思いからはじまった話ですし、僕はそれはちょっと引き取れないなって。でも、亀山(千広)プロデューサーが調整してくれたんですね。亀山さんが脚本にどんどん点を打っていって、それを君塚さんとつないでいったら、『これなら僕ができるかも』と思えるものになっていきました。やっぱり頼りになるプロデューサーですね。プロデューサーにパワーがないと、作品は大きくならないんだなと思います。亀山さんは、室井さんのことを自分のことのように話すんです。実際、大きな組織でプロデューサーから社長になっているし、室井さんにちょっと似ていますよね」

 「いつもの僕だったら、すちゃらかコメディーでどうボケるかしか考えてないんですが、『室井』はモードを切り替えました。雪景色で家族の話だし、イメージとしてはどうしてもドラマ『北の国から』なんですよ。僕はフジテレビ大好きっ子でずっと観ていましたから」と思い返す。「雪には慣れてなくて、コントロールするのは苦労しましたけど、室井の最期のシーンは上手くいきました。綺麗でしたね。あの日、リアルに吹雪で、さらに我々が巨大扇風機を回したんです。ドローンオペレーターが『無理です!』っていうのを、『1回だけやってみて!』と頼み込んで、飛ばしてもらった。うまくいってラッキーでした。無欲だからよかったのかな。いいものになりますようにと、祈るように撮っていた記憶があります」

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