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『室井慎次』本広監督、「踊る大捜査線」とのリンクを生み出す秘訣 演出の基本は「全員で考える」

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月20日 7時10分

 柳葉敏郎主演の映画『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』が大ヒット公開中だ。27年前の連続ドラマ「踊る大捜査線」にはじまり、社会現象を巻き起こした「踊る」の魅力を形にし、シリーズをけん引してきた本広克行監督が、演出方法の秘訣を語った。(以下、「踊る大捜査線」『室井慎次』のネタバレを含みます)

助監督全員と意見を出し合い、考える

 「踊る」シリーズの魅力はいくつもあるが、軽妙なコメディータッチやテンポの良さに加え、視聴者が「これがここに続くのか!」「ここが進化してる!」と面白がるさまざまなリンクや伏線も、その大きなものだ。知っている人がニヤリとする、目を離せなくなる深みがあった。たとえば、連ドラ当時に恩田すみれ(深津絵里)らが美味しそうに食べていたカップ麺のキムチラーメンが、のちにわさびラーメンなどに進化、『室井慎次』では家を掃除中の室井が食べ、商店で暴れる若者たちが棚から落とし、最後に彼らが室井にそれを手向けていた。そういったつながりは「主に助監督が考えてくれます」と本広監督は言う。

 「僕が言っていることをやるだけじゃなくて、みんなが考えなきゃだめだよ、というのが僕の演出の基本スタンスです。ずっとみんなに『これ、お前たちならどうする?』って言っていました。助監督全員に意見を出させて、みんなで考えて、それを受け入れられるのが『踊る』の現場なんです。だから助監督が育つんだと思いますね。『踊る』に関わってくれていた子たちは、いま大活躍中ですから」と本広監督は満足気だ。実際、「海猿」「MOZU」「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」シリーズなどの羽住英一郎を筆頭に、波多野貴文、河合勇人、七高剛らよくドラマや映画で名前を見る監督たちが、かつて「踊る」のスタッフクレジットに名を連ねていた。

 「今回も、ラスト近くの室井さんと子どもたちが雪かきをしているシーンは、季節の関係で撮影序盤に撮りましたが、ただ雪かきしているだけだと何でもないシーンになる。『どうする?』って言い続けました」と本広監督は明かした。

考えることで映画が変わる

 『室井慎次』で、特に助監督たちのアイデアが生きたところはどこだったのだろう。「杏(日向杏/福本莉子)がガレージに火をつけるところです。いくらマインドコントロールをされていても意図的に火をつけるのは重罪だし、室井さんのコートを印象的に燃やしたかった。自分だけの考えだとどうしてもうまくいかなかったんですけど、助監督たちがアイデアを出してくれました。火をつけて、一瞬我に返ってマッチを投げて、それがオイルに引火してバーッと燃え広がってしまう、というあたりですね。莉子ちゃんのお芝居も素晴らしくて、ハマりました。マッチも、室井さんは煙草を吸わないけど、青島(俊作/織田裕二)につながるような室井さんっぽいものになっているんです」

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