「母にとって私は恥ずかしい娘…」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第27回
ココロニプロロ / 2015年9月28日 11時45分
成長過程で子供は、人としてありえないクラスの甘えを親にふっかけますし、理屈の通用しないわがままを全力で通そうとしてきます。子供側からすると「記憶にございません!」で済ませたいところですが、そうもいかないですよね……。そのせいで、お互いにちょっと普通の人間関係ではありえない要求を親子の間では通そうとしてしまう、というのがあるのかもしれません。
でも、ある程度育ってくると、たとえ親子で一緒に暮らしていても違う価値観を持ったり、まったく別の性格の人間同士になったりするんだ、ということもお互いに受け入れなければ、やっぱり関係はおかしくなっちゃうと思うんです。こういう小さなひずみは、表面化してないだけで、すごくたくさんあると思います。「絶縁するほどひどい親ではないけれど、なんか合わない」「実家に帰るのが苦痛」「父か母、どちらかとどうも衝突してしまう」「頼りない親が依存的で困る」などなど、大きな実害がないから取り立てて人には言わないものの、「積極的に会いたいわけじゃない」程度の複雑な気持ちは、ある人も多いんじゃないでしょうか。
私は、親のことが嫌いではありませんが、ずっと複雑な気持ちはやっぱり持っています。愛情はありますし、育ててもらったことへの感謝の気持ちもあります。でも、友達や恋人と違って自分で選び取った関係ではありませんから、「家族というのは、別に気が合って一緒にいるわけじゃないんだな」ということに最近気付いて、不思議な気持ちになりました。「嫌いじゃないけど、家族と長時間一緒にいるのはしんどい、一人の時間がほしい」ということを、本当はずっと感じていたのに、それを「思ってはならないこと」のように感じていたのです。
家を借りるときには保証人の欄に名前を書いてもらって、頼りにするときだけ頼りにして、でも自分は何にもしてあげてない、という、私が一方的に甘えている関係だから、そんなことを思ってはいけない、感謝すべきなんだ、と思う気持ちもあるような気がします。
そんな「気が合うから一緒にいる、というわけではない他人」が家族の面白さだとも思いますが、そんな関係なのだから、無理して仲良くしようとか、無理してうまくいかせようとかしなくてもいいんじゃないか、と最近は思うのです。もちろん好きだし、困っていれば助けたい。けど、それ以上、無理にでも仲良くしようとしたり、親の期待に応えようとしたりすると、自分の中にある親への愛情が壊れてしまうような気がするのです。
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