1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「幸福」とは何か。【石井ゆかりの幸福論】

ココロニプロロ / 2021年9月25日 18時45分

苦しみが解決したとき。そして、自らの行動で良いことが起こったと感じたとき。この条件が「幸福」を生み出すのではないか、と私は想像しました。
たとえば、保険会社やハウスメーカーの「幸福な家族」のイメージを思いえがいた時、「彼らは生まれつき裕福な家庭に生まれ、何の問題もなく育ち、特に挫折することもなく出会い、子供を持ち、みんな健康で、引き続き問題なく裕福に暮らし続けている」と考えると、なんとなく薄ら寒いような、リアリティのなさを感じてしまいます。もちろん、そういう家庭も存在するかもしれませんが、それが「幸福の究極の形」と言えるかというと、頷けない気持ちになります。
一方でもし、その家族は実は、破産を乗り越えてもう一度再生した家族だったとか、家族の誰かが重病から回復したとか、そういった「苦労した過去」があったなら、「この人達は今現在の幸せの価値や意味を、誰よりも知っているのだろうな!」と想像したくなります。

また、「ギフトを受けとる側と、ギフトを贈る側では、どちらが幸福か」というテーマがあります。ずっと欲しかったものや憧れていたもの、見た瞬間に気に入るようなものを「プレゼントされる」のは、確かに嬉しいものです。でも、自分が贈ったギフトを大喜びして受けとり、ずっと大事に愛用してくれている、といったことのほうが、喜びの「重み」は大きいのではないかという気がします。これは「自分の力でよいことが起こった」という喜びに属するはずです。

「石井ゆかりの幸福論」という壮大なお題をいただいて、ホロスコープの「12のハウス」をそのまま章立てにして、ここまで「幸福」とは何かを考えてきたわけですが、最終章である「第12ハウス」は、現代的には「無意識、過去、秘密、自己犠牲」などを象徴する、とされます。ただ、古い時代の占星術では、このハウスはあまり良い象意を与えられていません。その解説には「悪い予兆、不運、自己破壊、奴隷、使用人、危険、外国、敵、隠れた敵、魔女、犠牲、国外追放、自己犠牲、幽閉、隠遁、恐れ、病」などというキーワードが並びます。どれも「幸福」のイメージからはほど遠い言葉たちです。

実は、これらのキーワードには、第6ハウスと共通するものが少なくありません。第6ハウスは現代的には「雇用関係、仕事の状態、家事、健康」ですが、伝統的占星術では「使用人、奴隷、病気、敵、不運」などが当てはめられるのです。12室と6室は向かい合っていて「ポラリティ」で結ばれています。対岸のハウスはその意味合いにつながりがあり、あるいは「反転」しているのです。たとえば第1ハウスは「自己」で、第7ハウスは「他者、パートナー、相手」です。第3ハウスは「基礎的学習、兄弟姉妹、短い旅」、第9ハウスは「専門的な学問、遠い親戚、長旅」となります。「自分」の対義語は「他者・相手」、「近い」の対義語は「遠い」だとすると、向かい合ったハウスは対義語の関係になっている、と言えるかもしれません。

第6ハウスと第12ハウスの意味合いが似ているのは、両者に割り当てられた惑星がともに「凶星(マレフィック)」、すなわち火星と土星だという点に関係があるのかもしれません。古い時代の星占いでは吉凶がかなりはっきりと語られる傾向があります。一方、現代的な占星術の世界では、「吉凶とはそもそも、なんなのだろう?」という掘り下げが行われますので、「幸運・不運」だけをバッサリ決めてしまうような考え方は、あまりしないように思われます。

……後編へ続きます。
>>次回もお楽しみに(2021年10月25日更新)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください