フォルクスワーゲン パサート(Passat)/パサート ヴァリアント(Passat Variant)新車情報・購入ガイド 【社長不在】のフォルクスワーゲンが、新型パサートでCクラスに3シリーズと超強力ライバルに挑む!【ニュース・トピックス:VW】
CORISM / 2015年8月17日 6時30分
2016年には? 遅すぎるPHVやクリーンディーゼルの投入
フォルクスワーゲン は、ミドルサイズのパサート /パサートヴァリアント をフルモデルチェンジし発売を開始した。フォルクスワーゲン パサートは、このモデルで8代目となる。
新型フォルクスワーゲン パサートは、メルセデス・ベンツCクラス やBMW3シリーズ 、アウディA4 などと同じクラスに属する。このクラスのクルマは、国内でも主力モデルとして高い人気を誇っている。しかし、従来のパサート は、こうしたライバル車ほど売れていないのが現状だ。クルマの走行性能や燃費など、ライバル車に劣ることも無く、逆に価格が安く、コストパフォーマンスに優れているのだが、販売台数では大苦戦している。
その理由のひとつが、デザインだと言われている。多くのデザイナーが、フォルクスワーゲンのデザインは完成度が高い言うが、一般顧客から見ると他メーカーのデザインと比べるとやや地味な印象が強い。あえて輸入車を選ぶという顧客にしてみれば、少々物足りなさを感じるのだろう。
今回8代目となった新型パサートのデザインは、基本的に水平基調のグリルからヘッドライトへつながるフォルクスワーゲンらしいデザインを踏襲しながら、ヘッドライトの高さを抑え薄くし、やや睨みのきいた精悍なフェイスとなった。強面系が人気のこのクラスにおいても、それなりに存在感が出てきた。
搭載されるエンジンは、先代パサートと同じように1.4LのTSIのみの設定。150ps&250Nmを発揮する。先代パサートの1.4L TSIに比べ28ps&50Nmと大幅にパワーアップされている。それでいて、燃費性能も20.4㎞/Lとなり、2.8㎞/L向上。パワーアップと同時に、約16%もの燃費向上が図られた。この数値は、さすがフォルクスワーゲンというべきもの。1.6Lエンジンを搭載したメルセデス・ベンツC180が、156ps&250Nmなので、200㏄小さいエンジンでほぼ同等の出力を誇っている。さらに、燃費はCクラスが17.3㎞/Lなのに対して新型パサートは20.4㎞/Lなので3.1㎞/L優れている。
優れたパワーユニットであるものの、本気でこのクラスで戦うには、エンジンバリエーションが少ないのはマイナスだ。今までのように、少ない台数でいいというのであれば話は別だが。すでに退任してしまったが当時の庄司社長は、パサートでCクラスや3シリーズの牙城を崩すとしていたからだ。2015年の上期では、メルセデス・ベンツに抜かれ、輸入車販売台数ナンバー1の座を奪われた。その反撃ともいえる車種が新型パサートなのだ。
3シリーズは、すでにハイブリッド 、クリーンディーゼル 、ガソリンと3タイプものラインアップを誇っていて、日本車以上の選択肢の豊富さを持つ。Cクラスも今年度中にPHV とクリーンディーゼルを導入予定だ。パサートも2016年にはクリーンディーゼルとPHVを導入するというが、最も新しいモデルなのに対応が遅いと言わざる負えない。ライバルの牙城を崩さなければならない宿命を背負って登場した新型パサートだが、これでは武装した兵士だらけの戦地に手ぶらで戦いを挑むようなもの。実際の営業マンは厳しい戦いになる。
また、ボルボ がクリーンディーゼル車を導入しているのにもかかわらず、ゴルフ のクリーンディーゼル車の導入も未だ見えない状況。ゴルフもパサートも、すでに、ドイツ本国では発売されているだけに、フォルクスワーゲン本国は、色々な事情があるにせよ日本マーケットを軽視している感がある。
燃費や実用性では、Cクラスや3シリーズを圧倒! スポーティなRラインが人気グレードになるか?
新型パサートのボディサイズは、全長4,785×全幅1,830×全高1,465㎜。全幅が1,830mmなので、都市部に多い立体駐車場の制限1,800㎜をオーバーしているので、こうした駐車場の顧客は物理的にパサートを購入することはできない。BMW3シリーズは、わざわざ日本専用部品を用意し、全幅を1,800㎜にしている。
実用性という面では、新型パサートは高く評価できる。セダン のパサートでトランク容量は586L、ヴァリアントは650Lとなる。Cクラスステーションワゴンが470L、3シリーズツーリングが495Lとなっている。もはや、パサートセダンの方が、Cクラスステーションワゴンや3シリーズツーリングよりも荷室が広いという状況。ちなみに、セダン メルセデス・ベンツEクラス ステーションワゴンの荷室が655Lなので、パサートヴァリアントの荷室容量は、ひとクラス上の実用性を備えている。この差は歴然で、荷物を多く積むことが多い人は実際にチェックしてみるといだろう。
新型パサートの安全装備は、かなり高いレベルにある。まずは、9つのエアバッグを装備し、衝突事故時に、すぐに自動ブレーキをかけ衝撃の反動に伴う2次衝突の危険を低減するポストコリジョンブレーキシステム、歩行者認識機能も備えたプリクラッシュブレーキシステム“Front Assist”なども装備されている。歩行者認識機能は、30km/h未満に作動するが、対歩行者との死亡事故は30㎞/h以上で致死率が高くなることを考えると、もう少し高い速度からの自動ブレーキに期待したい。高く評価したいのは、こうした機能がすべてのグレードに標準装備されたこと。どのグレードを買っても同じ高い安全性能としたのは、日本のフォルクスワーゲンの高い安全思想によるものだ。
こうした機能の他に、再発進の機能まで備えた最新世代のアダプティブクルーズコントロール“ACC”と
車線維持支援システムの“Lane Assist”が連携することで、渋滞時追従支援システム“Traffic Assist”の機能を装備。後退時の事故防止のためのリヤトラフィックアラートも装備している。
新型パサートのグレードは、トレンドライン、コンフォートライン、ハイライン、Rラインの4タイプが用意されている。グレードの差は、主に快適装備・便利装備によるもの。シンプルに乗るならトレンドライン(329万円)でも十分と言えるのだが、実際の売れ筋グレードはコンフォートライン以上になるだろう。最上級グレードのハイライン(414万円)でも、LEDヘッドライトはオプション。パサートの精悍な顔立ちとなる重要な雰囲気を醸し出すアイテムなので、LEDヘッドライトはぜひとも選択したいオプションだ。
お勧めグレードは、スポーティな設定のRライン(4,609,800円)だ。メルセデス・ベンツのAMGパッケージやBMWのMスポーツと同様にエアロパーツや18インチタイヤなどを標準装備したモデルだ。こうしたエアロモデルは、日本で非常に人気が高くRラインは人気グレードになる可能性が高い。価格は少々高価だが、Rラインは装備やスタイルとも十分満足いくものとなっている。
8代目となった新型フォルクスワーゲン パサートは、精悍さも増しライバルに負けない迫力を手に入れた。価格も329万円からという非常に戦略的な価格もあり、エンジンラインアップが増えればかなりの戦闘力あるモデルとなるだろう。
フォルクスワーゲン パサート(Passat)/パサートヴァリアント(Passat Variant)価格
■パサート価格
・TSI Trendline 3,290,000円
・TSI Comfortline 3,590,000円
・TSI Highline 4,140,000円
・TSI R-Line 4,609,800円
■パサートヴァリアント価格
・TSI Trendline 3,489,900円
・TSI Comfortline 3,789,900円
・TSI Highline 4,339,900円
・TSI R-Line 4,809,700円
フォルクスワーゲン パサート(Passat)/パサートヴァリアント(Passat Variant)燃費、スペックなど
代表グレード | フォルクスワーゲン パサートヴァリアントTSI R-Line |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,775×1,830×1,510mm |
ホイールベース[mm] | 2,790mm |
車両重量[kg] | 1,510kg |
総排気量[cc] | 1,394cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 110(150)/5,000‐6,000 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 250(25.5)/1,500‐3,500 |
ミッション | 7速DSG |
JC08モード燃費[km/l] | 20.4km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 4,809,700円 |
レポート | 編集部 |
写真 | フォルクスワーゲン |
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