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BMW i4 eDrive40試乗記・評価 重いのに軽い! 抜群のフットワーク

CORISM / 2022年11月26日 10時10分

BMW i4 eDrive40 M Sport

 

BMW i4は予想外のクルマ?  そのワケとは?


 

「21世紀に間に合いました」は1997年に登場した初代トヨタ・プリウスのキャッチコピーである。その21世紀も20年以上が経過。その間に、水素を燃料に使うFCV(燃料電池車)が登場した。

また、バッテリーの電力だけで走行するBEVも、当初の航続距離100km程度から500kmを超えるクルマも発売され実用性が大幅に増している。

日常生活でBEVは、満充電で200kmを走れれば充分。だが、週末のレジャーを考えると400kmは走って欲しい。

今回試乗した「BMW i4 eDrive40」は、BEVであり、カタログデータは一充電走行距離604kmなので、上記条件を楽々クリアする。

今回のBMW「i4 eDrive40」の試乗は、編集長が高速道路を使って信州まで自走してきた。都内を出発する時、バッテリーの残量は70%程度たったので、私が運転した時にはメーターに表示された航続距離は200km弱だった。

これから目指すのは標高1,700mの高原。標高差1,200mを一気に駆け上がることになる。BEVは、登坂では電費が極端に悪くなる。そのため、航続距離はドンドン短くなり、編集長は電欠を心配し悲壮感溢れた声が漏れた。だが、私はそんな事は気にしない。気持ちよくアクセルを踏み続けたのだ。

約40分の走行で目的地に到着すると、残っていたバッテリー残量は大幅に減り、航続可能距離は100㎞を切った。帰りの心配をする編集長は疲れた表情をしていた。

その一方、私は爽やかな高原の空気で深呼吸し、美味しいソフトクリームを味わいながら爽快なドライブを楽しめた。i4を眺めていると、なぜか幸せな気分となった。

便利で楽なクルマも良いが、運転が楽しいクルマはもっと良い。i4でのドライブが、こんなに楽しいのは想像外だった。

BMW i4 eDrive40 M Sport

 



 

山岳ドライブはBEVの魅力を倍増!


 

その後も周辺を走りまわり、電力を消費したが、山を下るに従い航続距離は増え続けた。以前、初代日産リーフで近隣の山々を走り回った。標高2,000m地点で電欠直前となり、あと少しで走行不能状態になったが下山した時には、余裕の走行可能距離となった。

BEVは、エンジン車以上にアップダウンの影響が大きく、山を登るとバッテリー残量が大きく減少する。

しかし、位置エネルギーは増えるので回生機能を生かし下山すればバッテリー残量は増える一方だ。

バッテリー残量を睨みながら、目的地や経路を考えながら山岳路を走るのも楽しい。

気候の良い時は、窓を開け、美味しい空気を味わい、小鳥の囀りを聞きながらドライブするのはBEVだから楽しめる。山岳ドライブとBEVの相性は良い。

BMW i4 eDrive40 M Sport

BMW i4 eDrive40 M Sport

 



 

際立つ静粛性と乗り心地のよさ


 

さて、本題であるBMW i4のインプレッションから外れてしまったが、結論から先に言うとi4がとても気に入った。一番の理由はBEVでも運転が楽しかったからである。

i4は後輪駆動。「i4 eDrive40 Standard」、「i4 eDrive40 M Sport」と4輪駆動である「i4 M50」の3種類の設定。今回の試乗車は「i4 eDrive40 M Sport」だ。

乗り心地は低速域こそ、「M Sport」のためか少しゴツゴツと路面の荒さを伝えるが、ある程度のスピードになれば乗り心地は快適となる。

試乗車のタイヤは245/45R18(前)、255/45R18(後)ハンコック製が装着されていた。タイヤからのロードノイズは低くステアリングの応答性も優れている。

シャーシ性能は高く、タイヤ本来の性能の高さもあるだろうが、18インチであることが乗り心地の良さに貢献している。19インチや20インチのタイヤを履けばカッコ良くグリップ力も高いが、乗り心地は犠牲となるからだ。

また、室内の静粛性に優れているのがi4の特徴だ。BEVは、エンジン音が無いため、それにマスキングされていた走行音などが気になるケースが多い。

各メーカーは、その対策に努力をしている。その中でもi4は遮音性が高く走行音、風きり音や余計な音が耳に届かなく快適だった。

BMW i4 eDrive40 M Sport

BMW i4 eDrive40 M Sport

BMW i4 eDrive40 M Sport
ドライバー側にわずかに湾曲させ視認性を向上させているカーブド・ディスプレイ。高く評価したいのは、ダイヤル式のiDrive機能が残されたこと。ドライバーは、タッチパネルもしくはダイヤルと使いやすい方を使える。右ハンドル車の場合、多くの人は、利き手ではない左手でタッチパネルを操作。走行中などは、とくに操作しにくいので、ダイヤル式が便利だ。


 



 

重いのに軽いBEVならではのフットワーク


 

BMW「i4 eDrive40」の駆動用バッテリーは、大容量の83.9kWhという高性能リチウムイオン電池を搭載。航続距離604㎞と長い。

モーターは、最高出力250kW(340ps)、最大トルク430Nm(43.8kgm)のパワーを発生し後輪を駆動する。

高性能モデルである「i4 M50」は、前後にモーターを搭載、前:190kW(258ps)、後:230kW(313ps)、スポーツ・ブースト・モードの場合、システム・トータル最高出力400kW(544ps)、システム・トータル最大トルク795Nm(81.1kgm)、自然吸気ガソリンエンジンに換算すると8.0L級のパワーを4輪に伝える。i4 M50の0-100 km/h加速は3.9秒と、スーパーカーと遜色ない性能である。

「i4 eDrive40」でも、アクセルを少し踏み込むだけで静かに後ろのクルマを置き去りにするほど力強い。ただ速いだけでなく、BMW伝統の運転が楽しいクルマに仕上がっている。ステアリングの切り始めだけ、応答はやや緩慢であるが、その後は狙ったラインを正確にトレースできる。

「i4 eDrive40」は、重いバッテリーを床下に搭載し重心が低く、スポーツカーのように地面に貼り付くように旋回していく。

また、アクセルレスポンスもデジタル的な単純なオン・オフのパワーの出方でなく、ガソリン車のような感覚があり、アナログ的ともいえる。アクセルで微妙に前後荷重をコントロールでき、クルマの姿勢を容易にコントロールできる。

サスペンションもしなやかで、コーナリングを楽しめ“駆け抜ける歓び”を感じる。運転が楽しいので軽量なクルマと思って車検証をみたら、車重はなんと2トン超え! こんなに重いクルマとは思わなかった。

また、重量配分は前輪に比べ後輪が200kgも重い。フロントが軽いのは感じていたが、ここまで後輪が重いとスポーツカーであるミッドシップやRR(リヤエンジン・リヤ駆動)車のようだ。こうした重量配分も、運転が楽しい理由かもしれない。

BMW i4 eDrive40 M Sport

 



 

3、4シリーズを超える静粛性と乗り心地


 

「i4 eDrive40」のボディは4シリーズ・グランクーペがベース。後席にも乗ってみたがスペースは充分広く、乗り心地も良く、静粛性も優れていた。エンジン車である3、4シリーズより快適で高級感があった。

カーブド・ディスプレイと呼ぶ12.3インチのインパネと14.9インチのコントロール・ディスプレイで構成された一体型のユニットは見やすく、多彩な情報を得る事が出来る。

今回は試さなかったがタッチ操作だけでなく、音声入力が可能な最新のオペレーティングシステムを搭載している。

BMW i4 eDrive40 M Sport

M50よりeDrive40がお勧め


 

後日、「i4 M50」も試乗した。アクセルを踏めば、クルマが軽くなったような加速をする。だが、コーナーではやや重さを常に感じた。

「i4 eDrive40」より160kg重いだけであるが、フロントにモーターが搭載され、重くなり軽快感減っている。

ただ、「i4 M50」は4WDなので、安定感は高く、絶対的な速さは「i4 eDrive40」を大きく上回る。こうした走りの差は、個人の好みにより評価が異なるだろう。

また、「i4 M50」航続距離も短くなり、「i4 eDrive40」より約200万円も高い。こうした違いを理解している人であれば、「i4 M50」でもよい。

絶対的な走行性能をそれほど重視しないのであれば、「i4 eDrive40」がお勧めだ。

「i4 eDrive40」は静かで快適であり、航続距離は600kmを超える。1日走るには充分な実用性を備えたBEVだ。車重は2トンを超えるが、それを感じさせない、BMW伝統の運転を楽しめるクルマである。

試乗はしていないが、17インチタイヤを装着したスタンダードモデルは一番乗り心地が良く、装備さえ納得すればお買い得な車種だ。

手が届きそうな価格であり運転していて段々欲しくなってきた。「21世紀のBEV」としてお勧めクルマである。

<レポート:丸山和敏

BMW i4 eDrive40 M Sport
荷室容量は470L(後席折りたたみ時 1,290L)と十分なスペースをもつ。


 



 

BMW i4 eDrive40 M Sport  実電費レポート


高速道路での電費が抜群よいBMW i4

今回の試乗では、関越道と上信越道をメインに約500㎞ほどの距離を走行。i4は、高速道路で驚きの電費を記録した。高速道路では、約400kmを走行。実電費は7.2㎞/kWhとなった。

この電費値には、かなり驚いた。以前、日産リーフe+を使い高速道路で測定した電費値は、6.5㎞/kWh。同条件ではないものの、よりコンパクトで軽量のリーフe+の燃費を超えていたからだ。

しかも、i4では100㎞/h前後でのクルージングだったのに対して、リーフe+では90㎞/hでの測定だったのだ。

BMW i4 eDrive40 M Sport

 

積極的なコースティングで、電費を稼ぐi4


 

i4が高速道路での燃費が良いのは、コースティング制御による部分が大きい。コースティングとは、ガソリン車で例えると、アクセルを戻したとき、ミッションとエンジンを切り離しニュートラルで滑走している状態。多くのBEVは、アクセルを戻した時、ガソリン車のエンジンブレーキのような弱い回生ブレーキをかけることが多い。

ところが、i4はアクセルを戻しても、コースティングするので、とてもゆっくり減速する。慣れないと、先行車にグッと車間が詰まったりする。前走車との車間距離を測り、自動で回生ブレーキの強弱をコントロールするアダプティブモードを使うと、ブレーキ操作回数が大幅に減り、より楽なロングドライブが可能だ。

電費アップのコツは、前走車との車間距離を十分に取り、早めにアクセルを離し積極的にコースティングさせること。コツをつかむと、電費はジリジリとアップしてくる。

また、i4は速度アップに対する電費のダウンが少ないのも特徴。80㎞/hから100㎞/hに速度を上げても、極端に電費が下がることがなかった。多くのBEVは80㎞/hを超えて走ると、電費が速度に比例して悪くなる傾向が顕著に出る。i4は高速道路で強みを発揮するBEVだ。

一般道での電費も意外だった。東京の環八をメインに100kmほど走行。平均速度は、約24㎞/h。都心の道路としては、まずまず流れといったところ。こうしたシーンでの電費は、5.9㎞/kWhとなった。

良好な数値なのだが、なんと電費は、高速道路の方がよいという結果になった。BEVの場合、速度が遅い一般道の方が電力消費が少なく、空気抵抗も低いので電費が良くなるケースが多い。i4は、逆の珍しい結果となった。

 

BMW i4 eDrive40 M Sport
ボンネット内は、エンジンが無いのでガラガラ。そのため、フロントが軽く、車重は重くても軽快はハンドリングを実現。


 



 

BMW i4公式サイト 

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BMW i4価格


・i4 eDrive40 Standard 7,500,000円

・i4 eDrive40 M Sport  7,910,000円

・i4 M50  10,810,000円

BMW i4電費、ボディサイズなどスペック


 

代表車種:i4 eDrive40 M Sport

ボディサイズ:全長4,785×全幅1,850×全高1,455mm

ホイールベース:2,855mm

乗車定員:5名

最低地上高:125mm

車両重量:2,080kg

サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク

リアモーター最高出力:340PS(250kW)/8000rpm

リアモーター最大トルク:430N・m(43.8kgf・m)/0-5000rpm

タイヤ前/後:F:245/45R18 R:255/45R18

一充電最大走行可能距離:604km(WLTCモード)

バッテリー種類:リチウムイオン

総電力量:83.9kWh



 

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