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旅ライターが『ゴールデンカムイ』の聖地巡礼! “大沼だんご”をGETできる和菓子店や“金塊の井戸”も…

CREA WEB / 2024年3月9日 7時0分

#295 Hakodate Port
函館港


八幡坂から見下ろした函館港。坂道が多い街です。

 これまで“旅といえば、海!”な私でしたが、人生初のスキーに挑戦してみようと一念発起。やっぱりパウダースノーでしょう、と北海道へ行ってみることに。とはいえ、やっぱり海が好き。そこで函館港を擁する函館を中心に旅してみました。

 函館は北海道の南西部、渡島(おしま)半島の南端にある、津軽海峡に面した北海道第三の都市です。

 室町時代の初期から関西方面との商船が行き来し、北海道の玄関口であった彼の地。当時、ウスケシ(アイヌの言葉で“入り江の端”の意味)と呼ばれていた漁村に、津軽の豪族・河野政通が建てた屋敷が箱に似ていたことから、「箱館」と呼ばれるようになったそうです。


箱館戦争で旧政府軍が敗れたのち訪れた新時代を象徴する金森赤レンガ倉庫。今はおしゃれなカフェやレストランが集まる人気スポット。

 そして、大きな転機となったのが1854(嘉永7)年。日米修好条約が結ばれ、下田とともに開港。さらに1859(安政6)年には箱館・横浜・長崎において、日本ではじめて海外との貿易がはじまり、外国にも門戸が開かれました。

 これを機に箱館には西洋文化が一気に流入。今でも異国情緒が香るレトロな建物群と、玄関口としての港、活気あふれる漁港、それらの風情が渾然一体となって函館の街を形作っています。

時代の幕開けを彩る「日本三大夜景」も


西洋式切妻破風の装飾と斬新な色使いが雪景色に映える旧函館区公会堂。

暖流の対馬海流と寒流の親潮が流れ込む、豊かな漁場でもある函館。函館朝市にて。

 歴史を振り返る時、この地には「箱館」と「函館」、2つの書き方があることにふと気づきます。

 これは、1869(明治2)年に蝦夷地を北海道と改めた際に、「函館」に変更されたそう(諸説あり)。変更の理由は、当時の北海道開拓使の長官が「箱」の文字が気に入らなかったからとか⁉ しばらく「箱」と「函」は混在していたようです。

 函館といえば、「日本三大夜景」のひとつである函館山から見下ろす函館港と街の夜景が有名です(世界三大夜景に名を連ねていたことも!)。


ロープウェイなら函館山の頂上まで約3分。

 この「日本三大夜景」には他に、神戸の摩耶山、長崎の稲佐山がありますが、どこも日米修好通商条約によって開港した港町を見下ろすロケーション。誰がこの3カ所を選んだのかは定かではないそうですが、新しい時代の幕開けとともに灯された街の明かりが人々の目によりきらびやかに映ったのかもしれません。

 さて、函館を探訪しようと思った時、コースのアイデアをくれたのが、函館空港内の観光案内所のスタッフ。おりしも映画『ゴールデンカムイ』が封切られ、コミックの愛読者としては、聖地巡礼に興味津々。作中で舞台となっている場所を観光スポットと併せて回ってみることにしました(ややネタバレあり)。

あの少尉が誘拐された領事館、五稜郭…

 まず向かったのは、元町。鯉登少尉が幼少期に誘拐された旧ロシア領事館を目指しつつ、クラシカルな教会群や異国情緒漂う家並み、八幡坂から見下ろす函館港を眺めながら、ぶらぶらと散策。残念ながら旧ロシア領事館は改装中でネットがかかった状態でしたが、途中で見つけた焼きピロシキとボルシチのお店でロシア気分を満喫。


元町の教会群。クラシカルな建物を見て回るだけでも旅情たっぷり。

たまたま見かけた焼きピロシキとボルシチの店「まるたま小屋」。テイクアウトOK。

 坂の途中から出ているロープウェイに乗り、函館山の山頂へ。函館港を見下ろしながら、ここから永倉、キラウシ、マンスールが鯉登パパの駆逐艦に向かって砲撃したんだなあ、と函館湾海戦のシーンを脳内再現。

 さらに物語のクライマックスである五稜郭へ、路面電車で向かいます。


五稜郭タワーから見た、星形をした五稜郭。

永倉さんが泳いでわたった二の橋からお堀を眺める。2月は氷が張っていました。

こちらが箱館奉行所。

 五稜郭とは、江戸幕府が蝦夷地の管理を目的として設置した箱館奉行所を防衛するために建てられた星形要塞。周囲約1.8キロの要塞の中を歩けば、二の橋や兵糧庫、箱館奉行所など作中に描かれた場所を見かけ、まるで本当にあった史実のように思えてきます。そして金塊が隠されていた井戸を発見。感無量!


あまりにもさりげなさすぎて、見過ごしてしまいそうな金塊の隠し場所として作中に登場した井戸。

みたらしとあんこの2種が楽しめる小粒のだんご

 また、物語に登場する食べ物は、どんなものなのか、実際に食べてみたくなるもの。鯉登少尉が鶴見中尉に差し入れする、大沼公園駅の名物“大沼だんご”を求めて、JR函館本線に乗って大沼公園駅まで足を延ばしてみました。


大沼公園駅前にたたずむ「沼の家」。店内にはイートインスペースも。

「沼の家」は明治38(1905)年創業、五代続く老舗和菓子店。お目当ての大沼だんご(しょうゆ/あんこ)は、みたらしとあんこの2種が楽しめる小粒のだんごで、ユニークなことに折り箱に入っています。これは大沼公園駅が開業した当時、駅弁スタイルで販売したのがきっかけで、今もそのスタイルを踏襲しているそうです。


これが、鯉登少尉が差し出した大沼だんご。包装紙も発売当初とほぼ同じデザイン。

 毎日米を挽いて、その日の気温や湿度によって蒸し方を変えて作る大沼だんご。やわらかくて、だんごのサイズもちょうどよく、甘さ控えめのあんこと絶妙なみたらしに、あっという間にペロリ、です。

 大沼だんごを求めて沼の家を訪れる『ゴールデンカムイ』のファンは多いそうで、鯉登少尉に扮した子供や牛山のコスプレーヤーもやってきたとか。その場に居合わせたかった……。


鯉登少尉が鶴見中尉に捧げる図を再現してくれた、「沼の家」スタッフの滝澤夏花さん。ちなみに、推しは月島軍曹。

 とここまで紹介してきましたが、実は映画の『ゴールデンカムイ』は、これから始まる冒険譚のいわば序章といった感じ。クライマックスの函館はちらりとも出てきません……。はたして、続編は何作まで、何年間、続くのか? 気が遠くなりそうですが、楽しみは続きます。

函館港

●アクセス 函館駅からバスやタクシーで約7分、路面電車なら約10分(元町)


古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子

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