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ミュージカル界を無双中の甲斐翔真「自分に本当にやれるのか? という怖さもある」

CREA WEB / 2024年12月29日 11時0分


甲斐翔真さん。

 インタビュー前篇では、自身もファンという『キンキーブーツ』への熱い想いをたっぷりと語ってくださった甲斐翔真さん。後篇は、大活躍された2024年を振り返っていただき、これからの将来についてもインタビュー。27歳になられたばかりの甲斐さんが目指す将来やご自身の信念を語ってくれました。


いつまでもフレッシュな“甲斐翔真”でいたい


甲斐翔真さん。

――2024年は甲斐さんにとってどんな一年でしたか?

 この数年、ミュージカルをたくさんやらせていただいていますが、やっと安定してきたかなと思います。自分の居場所を確認できたというか……。

 新人の頃から大きな舞台に立たせていただいてきましたが、あの頃は猪突猛進だったんです。でも、その当時のフレッシュな感じもやっぱり必要だなと、今改めて思っていて。元気の良さというか、威勢のよさみたいなものを忘れたくない――というのを感じた一年でした。

――そういう意味で『キンキーブーツ』のローラ役は新たな挑戦になりそうですか?

 そうですね。『安定』とは真逆で、『挑戦』が9割です。『デスノート THE MUSICAL』や『RENT』のときのような、「本当にやれるのか?」というあのときの怖さに似ている感覚があります。でも、立ち向かわないと輝けないですから。こういう人生の中で、ひとつの大きなハードルといいますか、本当にいいタイミングでいただいた役だと思っています。


甲斐翔真さん。

――昨年達成できた目標と、自分の中で課題として残ったことなどがあれば教えてください。

 やはり一番大きいのは『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を2023年、24年と2年連続でやらせてもらったことですね。初演にも関わらず盛り上がったので、僕の中では成功というか、作品の立ち上げに関わらせていただいた身としては、本当に自分の糧になったと思います。

 もちろん日々課題はありますが、千穐楽などで観客の皆さんの顔を見たときに、皆さんがどれだけ公演が終わってしまうことを悲しんでくださっているかが分かりましたし、そういう意味でいうとすごくいい一年だったと思うんです。

――先日、サティーン役を演じられた望海風斗さんにお話を伺ったときに、やはり「真っ赤な一年でした」と仰っていました。

 なるほど、そうですね(笑)。やはりあそこまでの大作で、帝国劇場の0番という真ん中で歌わせてもらえるのは、僕の中でもとても大きいことでした。それを、25歳、26歳という若さでやらせてもらえたのは、なかなかできない経験だと思うので、それを無駄にしないように、これから先へと繋げていけたらと思います。

劇場は特別な空間だから、オシャレして来てほしい


甲斐翔真さん。

――11月には27歳のお誕生日を迎えられましたが、一年頑張ったということで、ご自身にご褒美プレゼントなど買われましたか?

 オーケストラコンサートで使ったネクタイを……。伊勢丹で買いました(笑)。

――改めて、27歳の一年間はどんなものにしていきたいですか?

 『キンキーブーツ』の次には『マタ・ハリ』も控えていますし、その前には帝劇のコンサートもあります。舞台というのは結構先々までスケジュールが決まるのですが、そのときの自分がどんな状態かというのは、正直決まった時点ではまったく分からないじゃないですか。だから、30歳を迎えるときにどうなっていたいか、というのは今から考えていきたいと思っています。

 30代に差し掛かるというのは、人としてひとつの分岐点だと思うんです。この数年間突っ走ってきて、後ろも振り返らずに来たのですが、そろそろ僕も人生を考えないといけないので……。この先の生き方というのは、自分のことだけじゃなくて、いろんな方々の人生を見たりして学びたい。そういう人間観察の一年にもできたらいいなと思います。

――30代になると、今までよりも、きっと“先輩”という立ち位置になりますよね。甲斐さんに憧れる方も出てくるのでは?

 僕はあまり、そういった縦の関係に昔から興味がないんです。もちろん先輩はすごく尊敬していますが、後輩を育てるというよりは、自由に生きて欲しいかな。僕なんか目指さないで(笑)、もっといい方法があるよ、なんて言っちゃうタイプ。

 だから先輩で可愛がってくださる方はすごくカッコイイなって思います。僕はわりと後輩の子たちとも友達みたいになったほうがラクなんで。


甲斐翔真さん。

――甲斐さんご自身が“自由”を満喫されるタイプというのは、これまでの取材からも感じています。突然旅行に行かれたりするのが好きと仰っていましたが、最近はどちらかへ行かれましたか?

 イギリスに行きました。ウェスト・エンドも行きましたが、ロンドンの街並みや人々をたくさん見てきました。とにかく人間観察が大好きなんで(笑)。日本では絶対に味わえない体験というのは、行った土地で街並みや生きている人々の様を見ることだと思うんです。それはとても勉強になりますから。

 旅行が好きなのは日常では体験できないことを体験できるから。もちろんコストはかかりますが(笑)、それは自己投資というか、役者として役の作り方などにプラスになっているんじゃないかなと思うんです。

 お仕事を頑張って、旅行に行ってまた吸収できる。吸収したものをもっとお芝居の役作りに投影したい。その振り幅がどんどん大きくなっていったらいいなと思います。いい相乗効果になっているはずです。

――役作りは、そういった人間観観察を経て、自分と役との共通項を見つけていく、と。

 セリフの一つひとつをちゃんと自分の口からではなく、心から吐き出せる状態に持っていくためには、必ずそこがないといけないと思っているんです。鋭い方々には、“ウソ”が見えてしまうと思いますから。

 僕自身も、たとえば電車での会話などを聞いていると、「あ、この人本当はそう思ってないな」って気づいてしまうタイプ。人の気持ちが分かってしまうからこそ、心の底から役のセリフを言えるように、気にして役作りをしています。

――ぜひ『キンキーブーツ』を今回初めて観られる方、ファンの方にメッセージをお願いいたします。

 日本にはいろんなミュージカルがある中で、この『キンキーブーツ』はブロードウェイをそのまま持ってきている作品だと思います。「あれ、ブロードウェイに来たのかな?」と思わずトリップしてしまうようなセットや装飾、雰囲気、そして日本のキャストさえ『キンキーブーツ』の世界観に潜り込んでディープに作品を作っています。

 そういう意味での“異国感”を楽しんでほしいです。あと、ローラはすごくオシャレをしているので、ぜひ真似して劇場にいらしてもらえたら! やっぱり観劇するって特別な時間だし、特別であるべきだと思うんです。もちろん『キンキーブーツ』のみならず、ですが、そういうふうに装ってきてくださったら、僕が嬉しい(笑)。

――では、“キンキー”なハイヒールを履いて、伺います!

 あはは。そこまで真似しなくても大丈夫ですけど、もし素敵なピンヒールなら、僕は舞台からガン見しちゃうかもです(笑)。

甲斐翔真(かい・しょうま)

東京都出身、1997年11月14日生まれ。2016年に『仮面ライダーエグゼイド』のパラド/仮面ライダーパラドクス役でデビュー。初舞台を踏んだ2020年の『デスノート THE MUSICAL』以降、同年に『RENT』のロジャー役、翌年は『マリー・アントワネット』のフェルセン伯爵役、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役(主演)、『イザボー』『next to normal』などに出演、ミュージカル界でスターダムを一気に駆け上がる。2022年~23年にかけてはミュージカル『エリザベート』にてルドルフ役に抜擢。2023年~24年の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』ではクリスチャン役をWキャストで演じた。25年は『キンキーブーツ』のほか、10月に『マタ・ハリ』に出演予定。

文=前田美保
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=木内真奈美(オティエ)
スタイリスト=山本隆司(style³)

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