金正恩、北朝鮮版「ラブホ」を大々的に取り締まり
デイリーNKジャパン / 2024年2月15日 8時6分
誰もが気軽に使えるホテルの類が存在しない北朝鮮では、市場、駅、バスターミナル周辺に住む住民が、自宅の一部を改造して営む「待機宿泊」と呼ばれる民泊が利用されている。
北朝鮮では、登録した居住地から離脱するには旅行証という国内用パスポートが必要で、宿泊先ではたとえ家族や親戚、友人宅であっても登録が必要だ。この登録を行わないため、待機宿泊は違法だ。
当局は光明星節(2月16日の故金正日総書記の生誕記念日)を控えて非常警備期間に入った7日から、待機宿泊の取り締まりに乗り出した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
両江道(リャンガンド)の情報筋は、7日の午後8時半から各人民班(町内会)で宿泊検閲が行われたと述べた。登録なしに宿泊している者はいないかの検査を行うものだが、82連合指揮部と各地域の分駐所(交番)が抜き打ちで行った。
宿泊検閲は、金正恩総書記の生誕記念日の1月6日の前に行われたものに次ぎ、今年2回目で、表向きの目的は「反スパイ闘争」だが、実際のところは、売淫行為(性売買)の取り締まりにある。待機宿泊は「ラブホ」としても利用されているのである。
(参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに)
待機宿泊は、コロナ前に盛業していたが、コロナ禍で移動統制が強化されたため、姿を消していた。統制が緩和された今、またできるのを未然に防ぐために、検閲が行われたと、情報筋は説明した。
しかし、根絶は難しいだろうと情報筋は見ている。
「コロナ前にも非社会主義と売淫を助長する根源として、個人経営の宿に目をつけ、非常に強力に取り締まっていた。商売ができず、年取った人は、宿泊業以外に生計を立てる手段がないため、根絶されなかった」(情報筋)
当局は恵山周辺の待機宿泊が売春のみならず、脱北や人身売買の温床となっていると見ている。貿易都市、商業都市という性格上、流動人口が多いため、人々は見知らぬ人への警戒心が弱いためだ。
(参考記事:北朝鮮の「女子大生200人」がハマった禁断の行為)
別の情報筋によると、待機宿泊は今も営業中だが、開店休業状態だという。現在、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が冬季訓練を行っているが、その期間中に兵士には旅行証が発行されず、移動ができない。主な顧客である兵士が来ないとあっては、商売上がったりになるしかない。
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