シニア女性に人気通販ハルメク リアル店舗好調、秘策はインナーの試着”?
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年12月26日 20時58分
シニア女性向けの定期購読誌「ハルメク」の発行や、カタログ通販などの事業を手がけるハルメク(東京都/宮澤孝夫社長)は10月23日、同社18店舗目のリアル店舗となる「ハルメク おみせ 松坂屋上野店」(東京都台東区)をオープンした。通販やECサイトを主とするハルメクは、リアル店舗ではどのような売場を展開しているのか。松坂屋上野店における取り組みをレポートする。
シニア女性の悩みに寄り添うオリジナル商品を展開
「ハルメク おみせ 松坂屋上野店」は、JR「御徒町」駅より徒歩2分の「松坂屋上野店」内の2階にある。売場面積は約132㎡で、扱うのはアパレルやインナー、靴、化粧品など約150品目。ほかにも、お客の足にぴったり合った靴を購入できるように、足圧測定器も設置している。
50代以上の女性が生き生きと過ごせるように、年齢によって変化していく心と体、暮らしの悩みをサポートする商品を提供することをめざしているハルメク。強みは、自社のシンクタンクを通じて雑誌の読者や会員らの声を徹底的に調査し、シニア女性のニーズを反映した商品を開発できるところだ。通販カタログやECサイトで販売する商品は約8割がオリジナル商品で、そのうちの売れ筋商品を松坂屋上野店では展開している。
とくにアピールしているのは、9月に販売を開始したパンツの新ブランド「ZÛ-BON by halmek(ズボンバイハルメク)」だ。シニア女性は、お腹がぽっこりしてお尻が垂れるといった体形の悩みを抱えている傾向がある。ハルメクは会員ら100人以上の体形を調査し、試着会も何度も開催。会員らの意見を聞きながら、オリジナルのマチを入れてすらっとした体形に見せつつ、ウエストはゴム仕様にするなど着脱しやすいデザインのパンツを完成させた。ハルメクの松坂屋上野店では店頭に設置したデジタルサイネージでも商品を紹介している。
また、人気商品のインナーも15アイテムほど揃えた。通常、衛生商品であるインナーは試着できる商品が限られるが、ハルメクでは着心地を確認したうえで購入してもらうため、店頭での試着が可能だ。店舗事業部の勝谷進部長によると、「インナーは店舗における売上の牽引役」。他店舗では、インナーを1着購入したお客が翌日に再び来店し、インナーを数着買ったこともあるといい、高い支持を集めているという。看板商品の「ハルメク 健康サポート・骨盤底筋サポートショーツ」や、肌触りを重視してタグを外付けにしたタンクトップなど、いずれもこだわりの商品だ。
リアル店舗ならではの購買体験提供
ほかにも、シニア女性が歩きやすいように中敷きからこだわってつくった靴も、ブーツやスニーカーなど数種類を販売する。「一生自分の足で歩けるように」(勝谷部長)という思いのもと、店舗に設置した足圧測定器も活用しながら、足に適した靴選びを勧めているという。店頭では靴を紹介する大きなポスターを設置し、機能性やデザイン性を訴求していた。
最もアイテム数が多いアパレルは、店舗限定販売の商品も用意しており、通販やECサイトとは違った購買体験を提供している。
新規顧客獲得へ、リアル店舗の出店加速
松坂屋上野店の出店で、「ハルメク おみせ」の店舗数は靴の専門店を含め、全国で18店舗になった。とくにコロナ禍以降は出店を加速しており、2024年度は7店舗をオープン。いずれも各地の百貨店に出店するケースが大半で、百貨店のシニア向けフロアでは売上が常に上位だという。
とくに百貨店は利用者の年齢層が高い傾向にあり、ハルメクの顧客層とも一致することから、百貨店側から出店の依頼もあるなど期待値も高い。アパレルに靴、インナー、化粧品までワンセットで買物ができるのも特徴といえる。今後もさらなる出店を予定しており、全国で30~40店舗まで拡大することをめざしている。
リアル店舗を増やしてハルメクの認知度を高め、国内の雑誌販売部数が1位の雑誌「ハルメク」から知ってもらうだけではなく、読者や会員以外の消費者との接点をつくり、新規顧客の獲得につなげたい考えだ。既存の読者や会員にも、試着や接客を通じて、新たな購買体験も提供できる。
勝谷部長は「松坂屋上野店への出店で、都内では新宿や池袋に続いて中心部に出店することができた。お客さまの声をしっかり聞いて、悩みに対応する商品を作っているハルメクについてより多くの人に知ってもらい、フロアで売上ナンバーワンをめざしていきたい」と語った。
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