「一体感」を抱かせる売場づくりに注目!「ロピア茨木東太田店」の売場レポート
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2025年1月14日 20時57分
ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は大阪府茨木市に「ロピア茨木東太田店」を5月30日にオープンした。人口の多い都市部の立地し、コンパクトな売場をうまくまとめ上げている同店。前編では青果、鮮魚、総菜の売場を見た。後編は精肉と日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年7月10~12日 ※本文中の価格はすべて本体価格
品不足にも負けない精肉の量感と安さ
精肉売場は約60坪(歩測)と、標準的な面積を確保している。その中で、壁面32尺は牛肉で、ブロック、ステーキ、焼き肉、切り落としを展開している。
正面の壁面36尺では牛肉スライスと豚肉を配置し、しゃぶしゃぶ、スライス、ロース切り身、ブロック、ひき肉、ギョーザの皮を揃える。また、豚肉とひき肉は、高槻プロセスセンター(大阪府高槻市)からの納品となっている。
冷蔵の平台は3台を設置し、前方の平台では牛肉と豚肉の広告商品を展開する。背面には冷凍のもつ鍋、ウインナー、アイガモロース、北京ダックなどを配置。中間の平台には、右側がメガ盛りと焼き鳥、左側はオリジナルのえびす鶏の少量パックが揃う。
3台目はエンドでプルコギ、左側は「えびす鶏」、右側は「味付けコーナー」としてプルコギのメガ盛りや塩レモンなどと、リズム感のある配置をしている。
一方で、売れているのは広告商品だ。調査した週は日替わりで「黒毛和牛切り落とし」(100g当たり299円)、「みなもと牛」の「すき焼き・しゃぶしゃぶ用」「モモブロック」「切り落とし焼き肉用」をそれぞれ100g当たり398円で提供していた。
週末は、「みなもと牛」の「希少部位ステーキ用切り落とし」(499円)を販売。そのほか「牛味付けプルコギ用」(99円)、国内産えびす鶏「手羽元」(39円)、えびす鶏「手羽トロ」(59円)などを販売していた。
売場にいると多くのお客が「安い」と驚きの声を上げていた。他の部門と同じく精肉も多くの商品が値上がりしており、とくに米国産の牛肉は品薄が続く。その影響を売場では感じさせない量感を演出していた。それだけにお客の反応がより鮮明になり、「肉のロピア」が躍動しているに見える。
日配売場はシンプルで流れるような配置
日配売場の売場スペース構成比は23%で、やや高い。配置はシンプルで流れるようでこれがロピアのモデルでもある。
正面壁面に28尺で、チーズやバターなど乳製品を配置するほか、和日配は右に折れる壁面と合わせて92尺と、大きなスペースを割いている。展開する商品は、キムチ、納豆と続き、64尺のヨーグルト、ゼリー、スイーツからレジに近いパンにつなげる。チルド飲料は平場42尺で、冷凍食品やアイスクリームにつながる。
和日配のうち、キムチは大阪鶴橋の味を伝える高麗食品や漢江物産の商品が並び、よりどり3個999円で販売。
豆腐は3個パック(150g×3)がメインで、山食「しっかり木綿豆腐」(89円)、マルツネ「生しぼり豆腐」(129円)、京豆苑「絹豆腐」(59円)、小菱屋「木綿豆腐」(99円)、三木食品「四季彩々」(4個パック129円)など、バラエティーに富んでいる。
納豆は12尺・35品目を扱い、「タカノフーズ」「Mizkan」を軸に、こだわり商品は「あづま食品」や「高橋食品」で対応。1段目は「タカノフーズ・まろやか旨味ミニ45g×3」(66円)、「Mizkan・たまご醤油たれ40g×3」(89円)、オリジナル商品の「雪静納豆40g×3」(89円)などで構成していた。
基本扱いアイテムであるプレーンヨーグルトは12尺で27品目が揃う。他店舗と同様、下段は4個まとめ買いの商品がラインアップされ、「明治・ブルガリアヨーグルト400g」(159円)と「明治・LB81プレーンホームメイドストーリー400g」(259円)の取り扱いもあった。「明治・ブルガリアヨーグルト」はあるだけで売場が引き締まる不思議な商品で、お客の要望を聞いて導入したのだろう。関西人らしい柔軟な発想がうかがえる。
牛乳は「東海乳業・酪農牛乳(無調整)1ℓ」(198円)を3本555円で販売する。パンは食パンをメインにオリジナル「7/7(シューナナ)」のほか、「鳴門屋」「巽製粉」「オイシス」「パスコ」など幅広く扱っている。菓子パンは「ヤマザキ」「パスコ」「フジパン」「鳴門屋」など。壁面陳列は作業がしやすく、管理が行き届く。品切れ商品も少なかった。女性スタッフの動きもきびきびしていて、明るい雰囲気を感じる。
冷凍食品・アイスクリームはモデルとなる配置だ。中央にカバー付きの平台冷凍を置き、その左右に上段はリーチイン型、下段はオープン型の冷凍ケースをそれぞれ展開している。商品が判別でき、売りたい商品をアピールできるため、オリジナル商品の販売には適してしているかもしれない。
冷凍食品のギョーザは22尺・14品目を扱う。オリジナル商品、浜松ギョーザ、大型食材と、手軽な「味の素・ギョーザ12個」(222円)、「イートアンドフーズ・羽根つきギョーザ12個」(199円)の取り扱いがある。価格訴求は行わず、通常価格で販売しているが、これらの商品は外せないと判断したのだろう。しかし一方で、弁当総菜は10尺で22品目と商品数を絞り込んでいる。
アイスクリームは通常価格で「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(219円)、そのほか、個食は80円をベースに販売。ボックスタイプやプレミアムアイスに重点を置いている。
基本商品を堅実に売る加工食品売場
加工食品、酒、菓子の3部門のスペース構成比は37%と、ロピアの中ではほぼ標準となる。しかし、スペースが制限されているためか、各部門とも商品数を絞り込み、売場中央では、ロピアの基本商品を展開するゾーンを形成している。
加工食品の右端は48尺でプロテイン、コーヒーなど、嗜好食品が揃う。一方、左端は48尺で砂糖、つゆ、乾麺を配置。間には6レーンあり、前方は乾物、即席麺、米、後方は酢、だし、ソース、焼き肉のたれ、スパイス、カレーなどを展開している。
売れ筋のナショナルブランド、オリジナル商品にこだわり商品を絡めるなど、売場でこだわったのはポン酢、焼き肉のたれ、ドレッシング。中でも、とくに目立っていたのはふりかけだった。一方で、ロピアが力を入れているアウトドアスパイスのコーナーは導入しなかった。
菓子は48尺でグミ、チョコレート、大袋、24尺でスナック、21尺で米菓を展開し、レジ前とエンドにもある。グミは6尺に3尺のダブル棚で展開するのみで、商品数を絞った。大袋菓子は12尺で70品目を扱っており、3袋555円で販売していた(一部対象外)。主要商品は「ロッテ・チョコパイ9個」(279円)、「明治・ベストスリー」(259円)、「ブルボン・アルフォート168g」(199円)などとなっている。また、菓子は大袋を除いて、全体的に商品数を絞っており、催事関連商品はレジ前での展開を重視している。
酒類は、左壁面約70尺でビール系飲料、焼酎、日本酒、ワインを展開。ビール系はケース売りを重視し、焼酎、日本酒は売れ筋の銘酒とパックを販売する。ワインコーナーは、18尺で国産ワイン、スパークリングワイン、輸入ワインを揃える。輸入ワインは約107本を扱い、下段と2段は299~999円で38品目、3、4段は1000~1999円で47品目、2000円以上は22品目だった。
主軸となる商品の価格は1000円台だが、実際は1000円未満が売れていた。これらの商品群の中でも、こだわり商品は3尺ボックスで展開し、スコッチウイスキー4品目と「百年の孤独」「宮城峡」をラインアップした。酒類は売れ筋商品をベースにしており、生鮮以外は堅実な販促を基本としている。
売場から感じる「一体感」
茨木東太田店を見て感じたのは、まず、スタッフの優秀さだ。
ロピアには経験豊かな中途採用スタッフが多いと聞く。そのスタッフがロピア風の生鮮スタイルを短時間でマスターできる力には驚く。とくに鮮度感、仕事の丁寧さをはじめ、関西地区の各チェーンの生鮮スタッフは教育が行き届いており、各自が体でその意識を会得しているように見える。そのノウハウが関西地区のロピアでは生かされている。
中京地区と首都圏のロピアの店舗と比較すると、関西地区は一歩前にいるようにうつる。ロピアは地域事業部体制を敷いているが、生鮮ゾーンの売場構成、商品づくり、販売は関西地区が主導権を握っているようにも見え、この豊かな人材をどう生かし切るかが楽しみである。
売場づくりにも感心した。通常スタイルよりやや狭い約177坪の生鮮ゾーンでは、什器間も狭く、配置には苦労しようだがコンパクトにまとめている。売場のディスプレーも落ち着いていて、屋号が生きた演出になっている。
日配売場は壁面に乳製品や和日配、その右の壁面にはヨーグルトとパン、対面にチルド飲料、冷凍食品・アイスクリームと流れるような配置である。一方、加工食品・菓子、飲料、酒は商品を絞り込み、まとまりのある売場を演出。催事場も少なく、売場が機能的な配置になっている。
また、日配、加工食品ともに施策を盛り込み、ロピアとしての店舗全体のイメージを維持している。各売場のレベルを統一し、店の「一体感」を抱かせる演出が自然にできている。ロピアの深化を感じる店舗であり、この一体感がロピアの真髄かもしれない。
(店舗概要)
所在地 大阪府茨木市東太田1-6-10
開店日 2024年5月30日
売場面積 約490坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約165台(目測)
競合店 関西スーパー三島丘店(茨木市)、関西スーパー宮田店(高槻市)、万代高槻富田丘店(同)
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