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コスメ好調のロフト、“限定”“先行”商品を集められる理由とは

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2025年1月12日 20時55分

トレンドの商品

文房具からインテリアまで、生活雑貨を幅広く扱うロフト(東京都/安藤公基社長)が、近年はコスメ販売で存在感を発揮している。ロフト独自の品揃えや企画が支持を集め、売場では先行商品や限定商品も目立つ。トレンドの変化が激しいコスメ分野において、コスメ用品を含む健康雑貨の売上は右肩上がりに伸びているロフト。同社はどのようにお客の心をつかんでいるのか。

2024年10~11月にかけて開催された「ロフトKコスメフェスティバル2024AW」。写真は渋谷ロフト(東京都渋谷区)

独自の企画や品揃えで認知度高める

 ロフトがコスメ販売を強化しはじめたのは、約10年前のことだ。「『ロフトで化粧品を取り扱っている』イメージが消費者に持たれていない状況を変えたいと思った」。コスメを含む同社の商品本部で「健康雑貨」を統括する健康雑貨部の執行役員部長 山本修史氏は、当時をそう振り返る。

 認知度を高めるために、施策の一つとして取り入れたのがデジタルの活用だった。当時はまだ全盛期ではなかったSNSを活用しながら、リアルとオンラインをつなげたイベントを行ったり、情報発信を強化。そうしたなかで、ロフトが注目するコスメを一堂に集める人気企画「ロフトコスメフェスティバル」といった今や定番となった企画も生まれた。

 2014年に誕生した「ロフトアプリ」の役割も大きい。顧客に直接情報発信ができるようになったほか、アプリのユーザーにはコスメ用品のサンプルを配るなど、来店動機を生む施策が続々と生まれた。

韓国、日本で人気のブランド「fwee」(撮影は2024年11月時点)

 そうした企画と並行して、商品の選定力も磨いた。ロフトが扱うコスメは、百貨店とドラッグストアの間のバラエティショップの位置付け、いわゆる中価格帯の商品が主となる。

 「規模が大きいドラッグストアや総合スーパーとは同じ土俵で勝負しない。そことは違った商品を探すように、バイヤーには厳しく伝えている」(山本氏)。他店にはまだ並んでいない商品を、まずロフトから販売する──。その認識のもとで探し出した品揃えとイベントなどの施策により、認知度が高まり、メーカー側から商品の先行販売や、ロフト限定の色展開など声がかかるようになったという。

「ロフト先行発売」の化粧品。写真は渋谷ロフト(撮影は2024年11月時点)

 商品部健康雑貨部の企画を手がける田中勇氏は「10年間続けるなかで、メーカー側にもロフトで販売するメリットを感じてもらえるようになった。ただ店頭に商品を並べるのではなく、今ではメーカーやクリエイターと協力する仕組みができている」と語る。実績を積み上げたことで入手できる情報量も増え、「先手を打ちやすくなった」(田中氏)。現在は年間14企画とイベントを11回行う売出計画をもとにメーカー側と商品展開、企画について協議しているという。

トレンドに合わせて企画、リアル店舗を重視

「ロフトKコスメフェスティバル2024AWでは、スキンケア用品も充実していた

 化粧品は、ほかの商材と比べてトレンド変化が早く、国内外の多種多様なメーカーが次々と新商品を投入している。そのため、常にトレンドに合わせて企画もアップデートする必要があり、今年は定番の「コスメフェスティバル」に加えて、トレンドの韓国コスメを集めた「Kコスメフェスティバル」を2回開催した。

 24年1011月にかけて開催したKコスメフェスティバルでは、ロフト先行販売や限定商品を含めて122ブランド、621種類を揃えた。情報発信においても、若年層の利用がとくに多いTikTokYouTubeInstagramを通じて、インフルエンサーに店舗から配信してもらったりと、SNSの発信やマスメディアを通じた客観的な情報発信に力を入れている。

 さまざまな取り組みを行うなかで、ロフトが重視するのはリアル店舗における集客だ。化粧品は店頭のテスターを見ながら、色や使い心地などを試したいというニーズが強い。ロフトではECサイトも展開しているものの、「店頭で色や香りを試したり、新たな商品を見つける楽しさといった購買体験の提供を大切にしている」(田中氏)。各店舗の売場面積によって商品展開は限られるが、ロフトの店舗のなかでも売場面積が最大規模で発信力の高い「渋谷店」(東京都渋谷区)では、ポップアップストアを出店させてほしいといった依頼も多いという。

渋谷ロフトのポップアップストア(撮影は2024年11月時点)

 10年以上かけてコスメ強化に取り組んだことにより、今ではロフトの健康雑貨部門の売上は全体の45割程度まで伸長しており、文具雑貨を抜いて一番のシェアだ。ロフト全体の売上も好調で、2019年度以降、毎年10店舗以上新規出店を進めている。コロナ禍でも新規出店を継続し、他社の動きが鈍るなかでもイベントなどを実施したことにより、メーカーとの太いパイプを築けたという。

ロフト健康雑貨部の執行役員部長 山本修史氏

 ただ、コスメ業界はトレンドの変化が激しく、競合店との競争も激しい。山本氏は今後の課題として「ロフトに行かないと買えない商材をいかに集めるかがロフト商品部のミッション。トレンドを見据えて韓国コスメに代わるものは次は何か、探し続けなければいけない」と語った。

 

 

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