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脊髄小脳失調症の新しい治療薬候補を発見 ~L-アルギニンの脊髄小脳失調症6型に対する治験結果~

Digital PR Platform / 2024年11月28日 20時5分

【研究の成果】
48週間後の治療効果判定では、L-アルギニンを内服した患者さん群では、SARAが0.96±0.55点改善していました。一方でプラセボを内服した患者さん群ではSARAは0.56±0.55点悪化していました。2つの群の差からは、1年間でおよそSARA 1.5点分の治療効果が見られたと言えます。残念ながらこの効果は統計学的には有意ではありませんでした(p=0.0582)。
安全性では治験薬の影響が否定できない重篤な有害事象が2例で見られました(肺炎1例(死亡)、肝障害1例(改善))。

【今後の展開】
L-アルギニンがSCA6に対して一定の効果があることがわかりました。統計学的な違いをはっきりさせ、脊髄小脳失調症の治療薬として安全に使用できるようになるために、今後はより大人数での第3相試験が行われることが期待されます。

【研究成果の公表】
本研究成果は、2024年11月25日23時30分(英国時間)、科学誌「eClinicalMedicine」に掲載されました。
<論文タイトル>L-arginine in patients with spinocerebellar ataxia type 6: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
<著者>Tomohiko Ishihara, Masayoshi Tada, Yoshitomi Kanemitsu, Yuji Takahashi, Kinya Ishikawa, Kensuke Ikenaka, Makito Hirano, Takanori Yokota, Eiko N. Minakawa, Katsuhisa Saito, Yoshitaka Nagai and Osamu Onodera
<doi>10.1016/j.eclinm.2024.102952

【謝辞】
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)(22ek0109459h0003)、厚生労働科学研究費(JPMH23FC1010)などの支援を受けて行われました。

【用語解説】
(注1)脊髄小脳失調症6型(SCA6):遺伝性脊髄小脳失調症のひとつ。主に中年以降に発症し、比較的ゆっくりと進行します。
(注2)L-アルギニン:食品にも含まれるアミノ酸の1種です。医薬品としても製造、販売されています。
(注3)SARA:scale for the assessment and rating of ataxia の略。運動失調症の評価尺度です。歩行や手の動きなどの8つの項目で、0点(失調なし)から最重度の40点まで評価されます。
(注4)プラセボ:治験の際に、目的とする薬との比較に用いる、治療効果のない薬のことです。偽薬ともいいます。
(注5)第3相試験:別名を検証的試験ともいいます。多数の患者さんについて、有効性と安全性を確認する試験です。
(注6)第2相試験:別名を探索的試験ともいいます。比較的少数の患者さんについて、有効性と安全性などを調べる試験です。
(注7)ポリグルタミン病:原因となる遺伝子の中で、「CAG」というグルタミンを作らせるDNA配列の繰り返しが異常に長くなって発症します。9種類の病気が知られており、そのうちの7種類が小脳の病気です。

【関連リンク】
医学部 医学科 教授 永井義隆(ナガイヨシタカ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/2687-nagai-yoshitaka.html

医学部
https://www.kindai.ac.jp/medicine/


▼本件に関する問い合わせ先
広報室
住所:〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
TEL:06‐4307‐3007
FAX:06‐6727‐5288
メール:koho@kindai.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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