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サンゴはCO₂固定に貢献している!~骨格形成時のpH上昇機構を解明--北里大学

Digital PR Platform / 2024年12月10日 8時5分


■論文情報
論文名:The Role of Polyamines in pH Regulation in the Extracellular Calcifying Medium of Scleractinian Coral Spats
邦題名:造礁サンゴ幼生の細胞外石灰化液におけるpH調節におけるポリアミンの役割
掲載誌:Environmental Science & Technology
著 者:窪田 梓(日本電子)、大野良和(北里大学)、安元 純※(琉球大学、総合地球環境学研究所)、飯島真理子※(産業技術総合研究所)、鈴木道生(東京大学)、井口 亮※(産業技術総合研究所)、安元加奈未(東京理科大学)、廣瀬(安元)美奈(トロピカルテクノプラス)、坂田 剛(北里大学)、末弘宗滉(北里大学)、中前華帆(北里大学)、水澤菜々美(北里大学)、神保 充(北里大学)、渡部終五(北里大学)、安元 剛※(北里大学)  ※LINKAGEプロジェクト共同研究員
DOI:10.1021/acs.est.4c10097

■用語解説
※1:LINKAGEプロジェクト
 地球環境問題の解決をめざす国立の研究機関である総合地球環境学研究所のプロジェクトの一つ。琉球弧や西太平洋の熱帯・亜熱帯に位置するサンゴ礁島嶼系において、陸と海の水循環を介したつながりや、暮らしの中で育まれてきた生物と文化のつながりや多様性、多様な資源のガバナンスの規範・組織・制度の変遷や重層性の解明を目的としている。得られた成果のつながりを可視化し、陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンスの強化をめざす。プロジェクト期間は、2022〜2026年。
※2:pH
 水中の水素イオン濃度を0~14の数字で表したもの。7.0が中性で、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性を意味します。海水のpHが1高くなると、海水中のCO₂濃度は1/10に減少するため、石灰化中のCO₂放出は抑制されると考えられます。
※3:pH イメージング
 共焦点レーザー顕微鏡とpH指示薬を使って、サンゴの石灰化組織のpHを生きたまま観察する手法です。サンゴの石灰化組織ではpHの上昇が観察され、このpH上昇にポリアミンという生体塩基が寄与することがわかりました。
※4:ポリアミン
 ポリアミンは全ての生物の細胞内に普遍的に存在する生体塩基です。このポリアミンは水溶液中で二酸化炭素と容易に反応して保持する化学的性質があり、海水に加えるだけで簡単に炭酸カルシウムが沈澱します。サンゴもこのような化学的性質を利用してCaCO₃を大気中から取り込んで炭酸カルシウムの骨格を作っていることがわかってきました。
※5:サンゴの石灰化
 ヒトを含む脊椎動物の骨はリン酸カルシウムで作られていますが、サンゴや貝などの無脊椎動物の一部は炭酸カルシウムの骨格を持っています。この炭酸カルシウムの原料は海に溶けている二酸化炭素とカルシウムイオンです。そのため、サンゴの骨格には二酸化炭素が閉じ込められていると言えます。

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