水溶性食物繊維 "グアーガム分解物" のアルコール性脂肪肝の改善効果を解明 腸内環境の改善が肝疾患の予防に有用である可能性--摂南大学
Digital PR Platform / 2024年12月12日 14時5分
【概要】
三重大学(学長:伊藤正明, 所在地:三重県津市)、摂南大学(学長:久保康之、所在地:大阪府寝屋川市)、太陽化学株式会社(代表取締役社長:山崎長宏、本社:三重県四日市市)の研究グループは、腸内環境を改善する食品素材であるグアーガム分解物(PHGG)のアルコール性脂肪肝改善効果について評価し、その成果が学術誌『Journal of Gastroenterology and Hepatology』にオンライン掲載されました。
■ アルコール性脂肪肝モデルマウスを用いた試験により、グアーガム分解物(Partially hydrolyzed guar gum: PHGG, グアー豆食物繊維ともいう)を摂取することで脂肪肝が抑制されることを確認
■ PHGGの効果により腸内細菌叢を改善し、有用な代謝産物の産生を促すことで効果をもたらしたものと推察される。
■ 疾患予防分野における将来の応用に期待
【背景】
飲酒は慢性的な肝臓病のリスクの一つであり、アルコール性脂肪肝 1) は肝炎や肝硬変といった疾患の前兆であることから、早期の予防が重要であることが分かっています。また、腸内細菌を含む腸と肝臓とが影響を及ぼしあう腸-肝軸という概念が近年提唱されており、腸内環境の改善が肝疾患の予防や改善において有用であるとする知見が集まってきています。
【研究内容】
この研究では、腸内環境を改善する食品素材として知られているPHGG 2) をマウスに給餌し、エタノールを投与した際の肝臓と腸における影響を評価しました。肝臓においてはPHGG給餌によって脂肪の蓄積が抑制されており、腸内においては有用菌として知られるBifidobacteriumの増加や有害菌といわれるStreptococcusの増加抑制がみられたほか、有益な生理効果を持つと報告されている短鎖脂肪酸 3) のうちの酢酸が増加していることが確認できました。また、相関解析により、特にBifidobacteriumの増加と、その代表的な代謝産物である酢酸の増加が肝脂肪の蓄積抑制に関係していることが示唆されました。
【今後の展望】
腸と肝臓は短鎖脂肪酸などの物質を通じて相互に影響しあう関係にあります。今回の研究により、マウスにおいてPHGGは腸-肝軸を介してアルコール性脂肪肝を改善する可能性が高いことが示されました。よって今後はヒトにおいても同様の効果が期待できるのかについて検証を進めていきたいと考えています。
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