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アジサイが球状に咲く原因遺伝子を解明 ―育種の効率向上や新品種開発に期待―

Digital PR Platform / 2024年12月13日 14時5分

アジサイが球状に咲く原因遺伝子を解明 ―育種の効率向上や新品種開発に期待―



研究成果のポイント
・日本大学の奈島賢児専任講師、滋賀県立大学の上町達也准教授らによる共同研究グループは、アジサイが手まりのように球状に花を咲かせる手まり咲き性を決定する原因遺伝子を特定しました。
・手まり咲き遺伝子の特定によりアジサイ育種の効率が向上するとともに、がく咲き性の植物種への手まり咲き性の導入にもつながることが期待されます。
・特定した遺伝子は「手まり咲き」にちなんでTemary(テマリー)遺伝子と名付けました。





研究成果の概要
アジサイは世界中に広く愛されている園芸植物で,咲き方が異なる「手まり咲き」と「がく咲き」の2種があります。日本の固有種であるガクアジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)の野生種は,密集した小さな花の周りに大きな飾り花(装飾花)が縁取るように咲く、「がく咲き」と呼ばれる性質を保有しています。
「がく咲き」の野生種の中から「手まり咲き」が発見されることにより,アジサイは園芸植物として大きく発展しました。江戸時代には、手まり咲きのアジサイが園芸植物として広く普及し、それがシーボルトらにより欧米に渡りました。これまでの園芸植物には類を見ない、球状の美しい花をもつ植物として、欧米でも急速に普及し、現在も次々と新しい品種が開発されています。一方で、アジサイの育種を効率的に行う上で、手まり咲き性を決定する遺伝子の特定が待ち望まれていました。

研究チームは、約150個体のアジサイのゲノムデータを利用して、原因遺伝子が第4染色体の約118Mbの位置に座乗することを特定しました。また手まり咲き性を示す突然変異アジサイ(図1)の全mRNA発現量の調査を行い、花の形態形成に関わるSepallata様遺伝子を原因候補遺伝子として見出しました。さらに、手まり咲き性品種の'フラウヨシミ'、'ホンアジサイ'、'ブルーピコティ マナスル'と、がく咲き性の品種の'ポージィブーケ グレイス'、'ブルースカイ'のゲノムをそれぞれ解読し、手まり咲き性の個体は、機能欠損型の配列のみを保有していることを突き止め、本遺伝子を手まり咲き性の原因遺伝子として特定しました。特定した遺伝子は、「手まり咲き」にちなんで、「Temary」と名付けました。

このTemary遺伝子は、正常に機能した場合にはがく咲き性を示し、機能しない場合には手まり咲き性を示します。ゲノム解読の結果から、3種類の機能欠損を引き起こす変異型(対立遺伝子)が特定され、ほとんどの手まり咲きアジサイは、これら3種類の変異で説明されることを明らかにしました(図2)。

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