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東京医科大学・熊本大学の共同研究チーム「サイトカインストームを回避する新たなCAR-T細胞療法 補助刺激受容体2B4を用いたCARの基盤研究」 〜新たな免疫チェックポイント療法やCAR-T細胞療法への応用に期待〜

Digital PR Platform / 2024年12月26日 20時5分

 これらの2B4の二相性の特徴をCAR-T細胞療法に活かすことができないかと考え、CARの共刺激ドメインに2B4とCD3ζを組み込んだ、2B4.ζ-CARを新しく作製しました(図4上段)。2B4.ζ-CARを発現させた2B4.ζ-CAR-T細胞は、その標的分子であるCD19と結合すると、CARマイクロクラスターを形成しました(図4中段)。2B4.ζ-CARマイクロクラスターの下流では、先ほどの2B4のイメージング解析で見られたシグナル伝達機構が同様に働くことが確認されました(図4左下段、右下段)。

 続いて既存の3種類のCAR(ζ-CAR、CD28.ζ-CAR、4-1BB.ζ-CAR)と比較して、2B4.ζ-CAR-T細胞の機能解析を行ったところ、予想通り、抗腫瘍効果は変わらない(図5左上)一方で、他種類のCARよりもサイトカイン産生量が少なくなっていることが分かりました(図5右上)。この結果は、実際にマウスにCAR-T療法を行ったin vivoの実験においても同様であることを私たちは確認しました(図5下)。これらの結果から、2B4.ζ-CARはCAR-T細胞療法の重大な副作用であるサイトカイン症候群を回避できる可能性があると考えられました。

【今後の研究展開および波及効果】
 2B4は、がん免疫だけでなく自己免疫など幅広い場面において、T細胞の機能調節を担っており、それらの疾患との関連性が示唆されています。生理学的、総論的に2B4がT細胞においてどのような仕組みでどのような機能を果たしているのか、分子の特徴を知ることは、各疾患における病態の解明、さらに治療法の開発において非常に重要であると考えられます。さらに理解を深め、実臨床に直結させるために、今後はヒトの細胞を用いた研究に繋げていくことが必要とされます。また、今回研究した2B4. ζ-CARは、現在保険適応となっている4-1BB. ζ-CARやCD28.ζ-CARなどに加えた、新たなCARの候補になりうることが示唆されました。例えば、高齢患者や基礎疾患の多い患者など副作用が懸念されるケースに対するCAR-T療法の治療選択肢を広げることが期待されます。また、今後の研究展開として、2B4の二相性の特徴を利用し、2B4.ζ-CAR-T細胞にSAPを誘導的に発現させることで、抗腫瘍効果やサイトカイン産生をコントロールできるCARの創造も期待されます(図6)。

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