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【昭和大学・国立科学博物館】太平洋のハゲナマコから4新種候補を含む10種を発見! 〜世界各国の博物館標本の遺伝子解析から多様性を明らかに~

Digital PR Platform / 2025年1月8日 14時5分


 今回識別されたハゲナマコ属の10種は、2種がそれぞれ東太平洋と南極海太平洋区に孤立した分布域をもつ一方、北西太平洋では5種が、南西太平洋では3種がそれぞれ互いに重なり合う分布域をもちました。そのことから、形態的特徴が似た複数種が互いに重なり合う分布域をもつことで種境界の見落としに繋がり、種多様性の過小評価と単一種が太平洋全域に分布するという誤った認識を引き起こしていたと考えられました。


3.今後の展開
 今回発見された未記載種(新種候補)の4種については、ハゲナマコ属の既知の種とより詳細な形態比較を進め、新種記載の準備を進めていく予定です。また、今回使用できた標本数が少なかった地域(東太平洋、インド洋、南極海など)においても同様の比較を継続し、本属の全球的な種多様性とその分布域の解明を進めていきたいと考えています。

 今後、他の深海性種の種多様性の再評価が進むことで、陸上や沿岸の生態系に比べて研究が遅れてきた深海生態系の多様性の理解が進むとともに、地球規模での分布範囲や種分化を経験してきた深海生物の多様化メカニズムの解明につながることが期待できます。
 また、従来型の手法である形態比較やDNAバーコーディングに加えて、全ゲノム一塩基多型情報の比較が深海生物の種多様性の再評価における有効な手法となるとともに、博物館に収蔵される標本と組み合わせて使用することで深海生物などの希少生物の多様性の解明に有効な手法となると考えられます。


4.用語解説
・漸深海底: 水深200~3000mの深海底。深海底生環境の水深による区分のなかでも最も沿岸に近く、浅い水深帯です。深海の中でも最も生物多様性が高い水深帯と考えられています。



・ハゲナマコ属: 太平洋の漸深海底に広く生息する体長5~30cm程のナマコ類の仲間です。体の表面が柔らかく傷つきやすく、底曳き網による採集では全身の表皮が剥がれ落ちてしまうことから、ハゲ(剥げ)ナマコと名付けられました。



・複合種: 形態的特徴やその他の特徴が非常に似ていることで、種の境界が見落とされ、1種として扱われている種群。



・未記載種: これまでに知られる種とは異なる特徴をもち、今後形態的特徴の詳細な記載が行われることで新種として認められる可能性がある種。



・DNAバーコーディング: 野外から採取された生物標本の簡便かつ効率的な種同定を行うために、比較的短い特定の領域の塩基配列を取得し比較する遺伝子解析手法。

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