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腸内細菌由来の遺伝子を用いた疾患リスク評価法を開発

Digital PR Platform / 2025年1月15日 15時20分

~免疫疾患・精神疾患の非侵襲的診断への応用に期待~

藤田医科大学(愛知県豊明市)消化器内科学、医科プレ・プロバイオティクス講座(廣岡芳樹教授)らの研究グループは、腸内細菌が持つ特定の遺伝子(nan遺伝子※1)を定量的に測定することで、免疫疾患や精神疾患のリスクを非侵襲的かつ迅速に評価する新たな手法を開発しました。
この手法は、特にムチン分解に関連する腸内細菌のひとつRuminococcus gnavus※2(以下R. gnavus)などのLachnospiraceae科の細菌に着目しています。
研究成果は、2024年11月9日に「Microbiology Research Journal International」にオンライン掲載されました。
論文URL:https://journalmrji.com/index.php/MRJI/article/view/1503


〈研究のポイント〉

nan遺伝子の検出: 腸内細菌のnanA遺伝子に特異的なプライマーセットを設計し、次世代シーケンシング(NGS)でR. gnavusやBlautia、Dorea属などのLachnospiraceae科細菌の存在を確認しました。
疾患との関連性: アレルギー誘発マウスと攻撃的行動を示す犬さらに潰瘍性大腸炎(UC)※3患者のサンプルを解析した結果、nan遺伝子レベルが疾患の状態と関連していることが示されました。
非侵襲的評価: 糞便サンプルを用いたnan遺伝子の定量的PCR(qPCR)測定により、免疫疾患や精神疾患のリスクを非侵襲的に評価できる可能性が示唆されました。


〈背 景〉
腸内細菌叢は、宿主の免疫系や神経系に大きな影響を与えることが知られています。特に、R. gnavusなどのLachnospiraceae科細菌は、ムチン分解を通じて腸内環境に影響を及ぼし、免疫応答や行動に関連する可能性があります。本研究では、これらの細菌が持つnan遺伝子に着目し、そのレベルを測定することで、免疫疾患や精神疾患のリスクを評価する新たな手法を開発しました。


〈研究手法と結果〉
nan遺伝子クラスター内で高度に保存されているnanA遺伝子のコンセンサス配列をターゲットとするプライマーセットを設計しました。nanレベルと免疫疾患または精神疾患との関連性を調査するために、腸内のnanレベルを定量化するqPCRを実行し、フルクタン投与の有無にかかわらずアレルギー誘発マウスと、攻撃行動の有無にかかわらずイヌの腸DNAを分析しました。さらに、nanレベルが免疫疾患の臨床状態を反映しているかどうかを評価するために、潰瘍性大腸炎 (UC)の患者45人から糞便サンプルを採取し、nanレベルを分析しました。
その結果、nanプライマーセットを使用してさまざまな腸サンプルから増幅されたDNAフラグメントのNGS分析により、R. gnavusとBlautiaおよびDorea種を含むLachnospiraceae科の他のメンバーからのnanA配列の存在が確認されました。このプライマーセットを使用したnanレベルのqPCR定量化により、未処理のマウスと比較してアレルギースコアが低いことが知られているフルクタンで処理されたアレルギー誘発マウスは、nanレベルが大幅に低下したことが明らかになりました。さらに、攻撃的な犬のnanレベルは、非攻撃的な犬のnan レベルよりも大幅に高かったです。注目すべきことに、 UC患者のnanレベルも、健康な対照群と比較して大幅に上昇しました。

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