1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

【日本大学】先史時代にイルカ個体群が交代 日大がDNA解析等で解明

Digital PR Platform / 2025年1月24日 14時5分

【日本大学】先史時代にイルカ個体群が交代 日大がDNA解析等で解明



日本大学生物資源科学部の岸田拓士教授らの研究グループは,国内の複数地域の遺跡から出土した先史時代のイルカの骨をDNA解析と放射性炭素年代測定を使って分析した結果,世界規模の寒冷化が起きたとされる4200年前にイルカ漁が終了し,その後1000年間の空白期間があるとともに,この期間にイルカ個体群が異なる遺伝グループに入れ替わったことを示唆するデータを得た。4200年前の世界的な気候変動は陸上だけでなく海中の生態系にも影響を与えた可能性を示唆する成果で,気候変動と生物多様性などの関係性の解明につながると期待されている。




研究成果のポイント
• およそ8000年前 (縄文早期)から1000年前 (オホーツク文化期)にかけて、北海道道東地方を中心に3地域6地点の先史時代遺跡から出土した計54個体のイルカの骨からDNAを抽出してミトコンドリア調節領域の塩基配列を解読しました。
• 道東地方のイルカの骨は、DNAを解読した結果、カマイルカ・イシイルカ・ネズミイルカの3種に分類されました。東京湾の遺跡からは、これら3種のうちイシイルカとネズミイルカは見つかりませんでした。
• 道東釧路地方には大規模な先史時代捕鯨遺跡として東釧路貝塚(縄文前期~中期)と幣舞遺跡(縄文晩期~続縄文)があり、両者は地理的にはほぼ同じ場所に位置していますが、これら2つの遺跡から出土するイルカ類、特にカマイルカは、遺伝的に互いに大きく異なっていました。
• 放射性炭素年代測定の結果、東釧路貝塚での捕鯨活動はおよそ4200年前に終了し、その後は幣舞遺跡が築かれるまでのおよそ1000年間に渡って、当該年代を示すイルカの骨が存在しないイルカ漁の空白期が見つかりました。
• 4200年前に、世界規模の寒冷化が起きたことが知られています (4200年前イベント)。道東地方のイルカ個体群が異なる遺伝グループに入れ替わり、またこの地方における捕鯨活動が停止された時期は、このイベントとちょうど同期します。4200年前の急激な寒冷化は陸上だけでなく海中にも大きな影響を及ぼした可能性が示唆されました。



研究内容紹介
人類活動に起因する大きな気候変動に対峙しつつある現在、過去の人類活動や気候変動が当時の生物相にどのような影響を及ぼしたのかを理解することは、今後の生物多様性保全を考える上で重要です。今から1万2000年前に始まる完新世は、それ以前の時代とは比較にならないレベルで人類活動や気候変動の記録が良く残されている時代であり、この時代の野生動物の分布や遺伝構造の変化を明らかにすることで、気候変動や人類活動と生物多様性との関係性の解明が期待されます。
日本沿岸は、世界最古の先史時代捕鯨サイトの1つであり、古いものでは完新世初期およそ1万年前(縄文時代早期)の貝塚からもイルカなど海棲哺乳類の骨が出土します。本研究では、先史時代捕鯨の跡が残る東京湾および北海道道東地方の3地域6地点の先史時代遺跡(図2)から出土したイルカの骨(図1)からDNAおよびコラーゲンを抽出して、ミトコンドリア調節領域の塩基配列解読、および放射性炭素年代測定を行いました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください