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【立正大学】海洋保護区安永海山の岩場で新種のウミエラ類を発見 -北西太平洋から初報告-

Digital PR Platform / 2023年12月21日 14時5分

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ポイント
・岩場に生息する吸盤状柄部をもつ新種を発見
・北西太平洋海域からは初報告、世界でも5種目
・環境に合わせ吸盤状柄部を独立して獲得か




<概要>
 立正大学地球環境科学部環境システム学科の櫛田優花助教、産業技術総合研究所地質情報研究部門海洋環境地質研究グループの井口亮主任研究員、喜瀬浩輝日本学術振興会特別研究員PD、海洋研究開発機構の藤原義弘上席研究員、土田真二准研究主幹による研究グループは、西七島海嶺海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)の安永海山で、水深998mの岩場に生息するウミエラ・ノームツルウミサボテンAnthoptilum gnomeを発見し、ミトコンドリアゲノム情報の提供と併せて新種として記載しました。ウミエラ類は基本的には海の砂泥底に生息する群体性底生動物です。この例外的な岩場に生息するウミエラ類の発見は、世界でも本種で5種目となり、北西太平洋では初めてとなります。本種は群体下部の「柄部」を吸盤状にすることによって、岩場での生息を可能にしています。
 この研究成果は12月6日、オランダの国際学術雑誌『Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers』に掲載されました。

<研究者からのひとこと>
 海洋生物の種多様性には驚かされますが、様々なかたちの種が様々な過程を経て多様化してきたことにロマンを感じています。今回、異質な存在である、憧れの岩場生息性ウミエラ類を実際に観察できて嬉しかったです。多様性は楽しいです。

<研究の背景>
 ウミエラ類は主に砂泥底に生息する群体性海洋無脊椎動物の仲間で、刺胞動物門に属します。ほとんどのウミエラ類は、群体下部の「柄部」と呼ばれる部分を砂泥底に突き刺し、アンカーのように使用することで、足場が不安定な環境である砂泥底でもその場に留まり暮らすことを可能にしています。
 Williams and Alderslade (2011)によって、4種が岩場生息性のウミエラ類であることが記されました。岩場生息性のウミエラ類は、吸盤状の柄部を用いることで岩場に生息することが可能です。このような岩場生息性ウミエラ類は、カリフォルニア沖、タスマン海、バハマ、スリランカ沖の深海域からそれぞれ発見されてきましたが、ほとんどが一度のみの記録で、現在も岩場生息性ウミエラ類の報告・形態・遺伝子情報は極めて限られています。
 今回、2021年に実施された沖合海底自然環境保全地域における生態系モニタリングに関する総合調査で、ユニークな吸盤状柄部をもつ岩場生息性のウミエラ類を発見しました(図1と図2)。本研究では、形態観察・ミトコンドリアゲノム情報の蓄積を伴う遺伝子解析・祖先形質の復元によって、ノームツルウミサボテンAnthoptilum gnomeの記載と吸盤状柄部の獲得に関する進化学的研究を行いました。

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