キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている
東洋経済オンライン / 2024年5月20日 12時0分
減少し続ける放送収入
2023年度の在京キー局の決算が出揃った。決算資料のテレビ局単体のページから放送収入のみを取り出して集計すると、「下り続ける放送収入」と「TVerで伸びる配信収入」が見えてきた。
【グラフで見る】2019年から放送収入と総個人視聴率は下がり続けている
各局の放送収入を合計し、2019年度から並べたグラフを作成したところ、これまでの延長線上の結果になった。
2019年度にはキー局合計で8461億円あった放送収入がコロナ禍で乱高下したのち、2022年度には7999億円に下がった。そして2023年度は7623億円へとさらに落ちてしまった。減少率はマイナス4.7%、その前がマイナス4.8%だったので同じ傾向が続いている。中でもフジテレビは前年比マイナス8.1%で最も大きく下がっている。
ゴールデンタイムのPUT(総個人視聴率)もコロナ禍で乱高下し、2022年度は32.3%と前年度から3.5%も下がったが、2023年度は31.1%と1.2%ダウン。前年度ほどではないが、依然下がり続けている。コロナ期に人々が配信サービスを使うようになったためだ。
前の決算で放送業界は「今後下がっていく」ことを覚悟したが、今回の決算ではいよいよ下降傾向が決定づけられた形だ。放送というテレビ局の屋台骨だった事業が完全にピークを過ぎ去り、あとは下がっていくだけだと見えてしまった。
テレビ局が何もかもダメかというと、そうでもない。決算資料の中で輝いているのが、配信広告収入だ。ほとんどがTVerと思われる、その数字を並べてみよう。
TVerはテレビ業界の希望の星
実は前の決算ではテレビ朝日の配信広告の数字はわからなかった。大きくインターネット事業と括った数字しか示してなかったのだ。それが今年は配信広告を抜き出していた。それも含めて、各局ものすごい勢いで伸びている。今時、50億円規模の事業が3割も4割も伸びているなんて滅多にないだろう。TVerはテレビ業界の希望の星だ。
そこで、取らぬ狸の皮算用の試算をしてみよう。今後、放送収入が同じ比率で減少し、配信収入が同じ率で伸びたとしたらどうなるのか。
ただ、テレビ東京の配信広告収入がわからない。残りの4局の放送収入に対する配信収入の比率は4.2%だった。テレビ東京の放送収入の4.2%は28億円。強引な推測値に過ぎないが、これを使って試算を進めてみる。
そうするとキー局5局の配信広告収入は317億円になる。またテレビ東京以外の4局の伸び率の平均は42.5%だった。これも試算に使う。
この記事に関連するニュース
-
【TVer】2024年4-6月 番組再生数ランキング 1位はテレビ朝日『Destiny』
Digital PR Platform / 2024年7月26日 12時0分
-
「SASUKE」は五輪正式種目に…バラエティー番組“フォーマット販売”はTV局の救世主となるか
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 10時46分
-
日テレ、広告の「新型取引」でCMはどう変わるのか 広告主側が持っていた「不満」を解消できる?
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 13時0分
-
NHK「赤字でも黒字でも非難殺到」が意味すること 「儲けすぎ」から一転「どうして赤字なのか」
東洋経済オンライン / 2024年6月28日 19時50分
-
データが示した「本当に注目を集めた春ドラマ」ランキング、2位は『アンチヒーロー』。最下位は?
女子SPA! / 2024年6月28日 15時44分
ランキング
-
1日本のにんにくは中国産が9割。「国産にんにく」と「中国産にんにく」の違いとは? 3つの産地で比較
オールアバウト / 2024年7月26日 21時5分
-
2マヨネーズにつけて食べると消化酵素が3倍増…キャベツの栄養を爆上げするのは「千切りorかじる」どちらか
プレジデントオンライン / 2024年7月26日 9時15分
-
3イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
ねとらぼ / 2024年7月26日 16時5分
-
4日本人に多い「近視」 子どもは特に要注意、放置すると及ぶ“危険性” 眼科医が解説
オトナンサー / 2024年7月26日 7時10分
-
5「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか ワクチンを打っている人、打ってない人の違い
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 8時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)