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妊娠中の母親の葉酸血中濃度と乳児期の川崎病発症との関連

Digital PR Platform / 2024年1月9日 10時0分

5.参考図
表:プロペンシティスコア解析の結果
[画像1]https://user.pr-automation.jp/table_img/1706/81390/81390_web_1.png

それぞれの曝露因子と子どもの川崎病の発症との関連について、プロペンシティスコアで調整したロジスティック回帰分析を行いました。妊娠中期から後期の血液中の葉酸濃度が高い母親から生まれた子どもは、川崎病の発症頻度が低く、妊娠中期から後期の葉酸サプリメントを週に1回以上摂取していた母親から生まれた子どもも、川崎病の発症頻度が低いことが明らかになりました。妊娠初期の母親の葉酸サプリメント摂取も、有意ではありませんが、同様の傾向であることが分かりました。

6.補足
 妊娠前から妊娠初期のサプリメントによる葉酸摂取は、胎児の神経管閉鎖障害の予防に有効であるという根拠はすでに確立しており、世界中で妊婦の葉酸サプリメント摂取が推奨されています。日本でも2000年に厚生労働省から、妊娠可能な年齢の女性における妊娠前から妊娠初期に通常の食事に加えてサプリメントなどの葉酸補助食品から一日0.4mgの摂取が勧められる旨の通知が示されています。しかし、実際に摂取している女性はまだまだ少なく、周産期における母子保健上の大きな課題になっています。 

7.用語解説


川崎病:川崎病は1967年に川崎富作博士により報告された疾患で、日本人に多く、主に乳幼児に発症します。全身の血管に炎症が生じ、後遺症として心臓を栄養する冠状動脈に瘤(こぶ)が発生し、最悪の場合には心筋梗塞を起こし突然死してしまうことが大きな問題です。本当の原因は未だに明らかになっていません。
プロペンシティスコア解析:本研究のような観察研究では様々なバイアスが生じます。特に、母親の血液中の葉酸濃度高値・低値や葉酸サプリメント摂取あり・なしによって、解析対象となった子どもの背景因子にばらつきが存在しました。この解析手法を用いることで、バイアスを補正しより正しく因果関係を検討することができます。


8.発表論文
題名:Maternal serum folic acid levels and onset of Kawasaki disease in offspring during infancy

著者名(英語):Sayaka Fukuda, MD, PhD1), 2), Shiro Tanaka, PhD3), Chihiro Kawakami, PhD1), Tohru Kobayashi, MD, PhD4), Shuichi Ito, MD, PhD1), and the Japan Environment and Children’s Study Group5)

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