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抗菌薬耐性酵素が変異を重ねて高度耐性の表現型を獲得する 巧みな分子メカニズムを原子レベルで解明

Digital PR Platform / 2024年1月10日 10時39分

[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/2299/81521/600_364_20240110103234659df3b29f129.jpg
図1 CMY-185とCMY-2、セフタジジム結合前後の立体構造比較


今後の展開
本研究を通して、CMY-185は酵素とそれぞれの薬の結合様式の違いを、Y346残基の回転に反映させる分子メカニズムによって、セフタジジム、アビバクタムそれぞれの分子を識別していることが明らかになりました。また、このY346残基のセンサーは、セフタジジム分解を亢進させる変異(CMY-185ではV211S)、または、アビバクタム阻害を減弱させる変異(CMY-185ではA114EとQ120K)と合わさることで、実臨床で問題となる薬剤耐性細菌の出現へとつながります。本研究結果は、今後、N346Y変異型β-ラクタマーゼを有する病原性細菌の出現と同時に、酵素に導入されている他の変異もモニタリングする重要性を提示するとともに、これらを指標にβ-ラクタ厶系薬の耐性傾向予測につながることが期待されます。また、本研究結果はアビバクタムと同様のdiazabicyclooctane 系 β-ラクタマーゼ阻害薬は、分子全体を酵素で認識されるような分子設計にすると今回のN346Y型β-ラクタマーゼに有効になることが示唆されます。

本研究はJSPS科研費23K06267、公益財団法人 武田科学振興財団、米国NIAIDグラントR21AI151362の助成を受けて実施しました。また、放射光X線回折実験は高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設共同利用実験(2017G554、2019G592)として、Photon Factory BL-1AおよびBL-17Aにて行いました。

文献情報
●論文タイトル
Structural insights into the molecular mechanism of high-level ceftazidime–avibactam resistance conferred by CMY-185

●著者
河合聡人1,2(責任著者), William C. Shropshire3, 鈴木匡弘1,2, Jovan Borjan4, Samuel L. Aitken4, William C. Bachman5, Christi L. McElheny5, Micah M. Bhatti6, Ryan K. Shields5, Samuel A. Shelburne3, 土井洋平1,2,5,7(責任著者)

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