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長期宇宙滞在ミッションに伴うヒト血清プロテオーム変化を解明

Digital PR Platform / 2024年1月30日 14時0分


研究内容
 宇宙飛行前に比べて長期ISS滞在後に骨量減少傾向を示した6人の宇宙飛行士から、宇宙飛行前(3ポイント)、ISS滞在中(4ポイント)、宇宙飛行後(5ポイント)の計12ポイント(図1)で血清サンプルを採取し、包括的なプロテオーム解析を行いました。その結果、合計72の血清サンプルからデータを取得し、溶血の影響により定量解析に利用できなかった2サンプルを除く合計70の血清サンプルのデータを用いた主成分分析から、血清プロテオームプロファイルは採血ポイント毎に異なることが明らかになりました(図2)。
 また詳細な解析の結果、ISS滞在直後(F1)に血清中量の減少を示したタンパク質(細胞接着・細胞外マトリックス構成関連タンパク質を含む)のほとんどは、ISS滞在1ヶ月後(F2)には宇宙飛行前(Pre)のレベルにまで回復しており、このような減少反応の多くは一過性のものであることがわかりました。一方で、ISS滞在直後(F1)に血清中量の増加を示したタンパク質(自然免疫応答関連タンパク質を多く含む)の多くは、宇宙飛行直後(Post)に宇宙飛行前(Pre)のレベルまで減少しました。これらタンパク質の量的変動は、打上げに伴うストレス応答や宇宙空間での微小重力などの宇宙環境ストレスに対する生体内組織・細胞の適応機構を反映している可能性がありますが、その影響は一過性であると考えられました。また長期宇宙滞在に伴い量的変動を示す血清タンパク質の中には、その影響が地球帰還直後に回復するタンパク質と、1ヶ月程度継続するタンパク質が存在することが明らかになりました。さらに骨代謝関連タンパク質*2(COL1A1、ALPL、SPP1、およびPOSTNなど)の血清レベルは、長期宇宙滞在ミッションにおける骨代謝状態を示す客観的指標として機能する可能性があります(図3)。


今後の展開
 本研究は、長期宇宙滞在ミッションに伴う生体内適応メカニズムに関する新たな知見の発見につながり、宇宙飛行士の健康リスク増加を予測できる客観的指標の発見に貢献することが期待されます。また今後は、本研究成果を骨量減少や筋萎縮に係わるタンパク質の探索にも活用し、臨床応用を目指します。



[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/82350/650_241_2024012611065265b313bc86964.jpg

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