【東京農業大学(共同研究)】光合成微生物シアノバクテリアにおける新奇プラスミド複製因子の発見
Digital PR Platform / 2024年2月15日 10時53分
今後の展望/波及効果
CO2削減と物質生産を両立させるシアノバクテリアを用いたものづくりは時代のニーズに合った技術です。CyRepXを用いたベクターp6031/p6090は既存のベクターと組み合わせて使用できることが示されており、シアノバクテリアの産業利用を加速させる新たな遺伝子工学ツールとして期待ができます。また本研究はシアノバクテリアの基礎研究の発展にも大きく貢献できます。シアノバクテリアではプラスミドの複製機構についても情報が乏しく、CyRepXの発見がDNA複製やゲノム科学分野に新たな知見をもたらすと期待できます。
本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)(JPMJAL1608)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)(JPNP17005)、JSPS科研費(20K05793、23H02130、JP22J13447)および生物資源ゲノムセンターの共同利用・共同研究拠点事業の支援を受けて実施されました。
用語注釈
*1 シアノバクテリアは藍藻とも呼ばれる原核微細藻類です。植物の葉緑体の祖先生物と考えられており植物と同様の酸素発生型光合成により増殖します。シアノバクテリアは多種多様な生物群であり海、湖沼、氷河など地球上の様々な環境に生息しています。増殖に有機炭素源を必要とせず、光合成によりCO2を吸収しながら成長すること、さらに植物よりも増殖が早いことから、持続型物質生産を可能とする次世代ホストとして世界中で注目されています。
*2 プラスミドとは、微生物の細胞内に存在するDNA分子で、染色体DNAとは別のシステムで独立して複製します。大腸菌などでは10 kbp程度のプラスミドが一般的ですが、シアノバクテリアは例外的に100 kbp規模の巨大なプラスミドを保持する種が多く見つかっています。
*3 発現ベクターとは、細胞内での遺伝子発現のために設計されたプラスミドです。発現ベクターには、発現させる配列 (本研究の場合、GFP遺伝子)やその発現を制御するための配列、マーカー遺伝子(薬剤耐性遺伝子など)に加え、ホストの細胞内での複製に必要な“自律複製領域”が必要です。本研究で構築したp6031およびp6090ベクターは大腸菌の複製開始領域ColE1とシアノバクテリアの複製のための領域としてCyRepXを持っており、大腸菌とシアノバクテリアの両方の細胞内で複製できます。このようなベクターをシャトルベクターと呼びます。
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