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【大阪大学】世界初!高速化学合成した糖によるバイオものづくり ~食料と競合しない持続可能な原料糖の調達を可能に~

Digital PR Platform / 2024年2月13日 14時5分

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大阪大学大学院基礎工学研究科大学院生の田畑裕さん(博士後期課程3年)および同附属太陽エネルギー化学研究センターの中西周次教授らの研究グループは、産業技術総合研究所生物プロセス研究部門環境生物機能開発研究グループの加藤創一郎上級主任研究員およびGreen Earth Institute株式会社の山本啓介上席研究員らとの共同研究により、化学合成した非天然糖を用いたバイオものづくりに世界で初めて成功しました。本研究成果は 、Wiley-VCH発行の国際学術雑誌「ChemBioChem」(25巻2号, 2024年1月16日)にオンライン掲載されました。
【研究成果のポイント】
●高速化学合成した非天然糖を原料としたバイオものづくりに世界で初めて成功
●糖の触媒化学合成技術とバイオ技術とが融合した有用物質生産プロセス
●従来型の農業由来バイオマス糖における食料との競合問題の解決
●原料糖の高速・オンサイト生産を介してバイオものづくり技術の拡大に貢献




 農業で得られるトウモロコシなどのバイオマス糖を利用したバイオものづくりは、環境に優しい技術として注目されています。しかし、こうした従来型のバイオマス糖は、燃料や化学製品の生産という膨大な需要に対してその供給量に限界があり、工業利用の拡大による食料との競合が起こる懸念がありました。
 今回研究グループは、上述した課題の解決に向け、化学合成した非天然糖を原料とした革新的バイオものづくり技術の開発に取り組みました(図1)。その結果、モデル微生物としてコリネ型細菌*¹を用い、合成した糖液を唯一の基質とした乳酸の発酵生産に成功しました(図2)。これは、化学合成した糖を原料としてバイオものづくりが行われた世界で初めての例です。
 この成果により、食料と競合しない持続可能な原料糖の調達が可能となり、バイオものづくり技術の一層の拡大が期待されます。

■研究の背景
 産業革命以降、化石燃料の過剰な利用と、それに伴うGHG(温室効果ガス)排出を原因とする気候変動は、21世紀の世界的課題です。バイオものづくり技術は、こうした課題を解決するための一つの有効な手段として捉えられており、その導入が活発に進められています。
 現行のバイオものづくりにおける主原料(第一世代バイオマス*²)の生産は、トウモロコシ栽培に代表される農業プロセスに依存しています。しかし、第一世代バイオマスの供給量は、燃料や化学製品の生産という膨大な需要を満足することができないため、食料との競合が生じる懸念があります。さらに、大規模農業による糖の生産には、土地利用、淡水や窒素、リンといった枯渇資源の大量消費、富栄養化による水質汚染、生物多様性の喪失などの負の側面もあります。

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