人が食べることを目的としたロボットを開発 ― 世界初。動くロボットを食べた時の知覚、味覚、および食感を調査 ―
Digital PR Platform / 2024年2月19日 20時5分
【成 果】
第一の実験の結果、参加者は、動く可食ロボットを観察した際、縦方向に振動するよりも横方向に振動する動作に対して生きているような感覚を強く抱くことが分かりました。
また、第二の実験の結果、参加者は、動いていない状態のロボットを食べた条件よりも、動いている状態のロボットを食べた条件において、ロボットに対して知性、感情、生き物らしさ、罪悪感、および新鮮さをより強く知覚することが報告されました。さらに、食感をオノマトペで表現した際、条件によって異なる表現が使用されました。
以上のことから、動いているロボットを食べる際に、特定の印象や感覚を得ることが示されました。
【今後の期待】
この研究によって提案される新しい概念「Human-Edible Robot Interaction(HERI)(※4)」、つまり人が食べることができるロボットとの相互作用には、大きな可能性が秘められています。
HERIは、動いているロボットを食べる際の印象に関して、異なる文化間での差異を探る機会を提供し、新しい食体験やエンターテイメント性の高い食事の創出へと繋がるかもしれません。さらに、口腔刺激を通じた脳活動の促進といった医療分野への応用も考えられます。
HERIの研究は、また、人文科学、社会科学、生物学、心理学など多岐にわたる学際的な研究分野での議論を刺激します。特に、人の食行動における動物的要素や、動く物体が私たちの食欲や食行動にどのような影響を与えるかという視点が重要です。生きているように見えるロボットを食べる経験は、食育における哲学的議論を広げ、生命とは何か、ロボットを食べる際に生じる感情やバイオエシックス(※5)に関する理解を深めることになると考えられます。
従来の人-ロボット間の相互作用研究とは異なり、HERIはロボットを「食べる」という経験を通じて、アンケートでは捉えられない人の無意識的に行われるプロセスや、生き物やロボットに対する態度を探る新しいアプローチを提供できる可能性があります。
このような研究は、今後も多様な分野での議論を促し、学際的な研究の発展に貢献することが期待されます。
(参考動画)
https://youtu.be/OoAszrv5vy4
(論文情報)
・著者名:Yoshihiro Nakata, Midori Ban, Ren Yamaki, Kazuya Horibe, Hideyuki Takahashi,
and Hiroshi Ishiguro
・論文名:Exploring the eating experience of a pneumatically-driven edible robot: Perception, taste, and texture
・雑誌名:PLOS ONE
・DOI:10.1371/journal.pone.0296697
・公表日:2024年2月5日
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