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【名城大学】半導体負極の界面制御により高容量かつ長寿命なLiイオン電池を実現-全固体電池負極への展開を期待-

Digital PR Platform / 2024年2月26日 14時5分

【詳細な説明】
1. 研究の背景
高エネルギー密度のLiイオン電池を実現するためには、Liイオンを大量に取り込める高容量負極の開発が必要不可欠です。ゲルマニウム(Ge)材料は、カーボン(C)の理論容量372 mAh/gの4.3倍の理論容量1600 mAh/gを持ち、高容量負極の有望材料です(利点)。しかしながらLiを取り込むことで合金化し、その際、体積が4倍近くにまで膨張する特性を持っています。充放電で膨張と収縮を繰り返すことで、亀裂や集電体となる銅電極からの剥離が起こり、高い容量が急激に低下する短寿命という問題があります(欠点)。この問題を解決するためにGe材料を通常の微粒子のミクロン(10-6 m)サイズからナノ(10-9 m)サイズ化する方法や、他の材料と混ぜ合わせ複合化する方法が有効と考えられます。

2. 研究内容及び本成果の意義
本研究では、独自の低温高圧プラズマプロセスで直径10-20 nm程度のナノ構造をもつGe多孔質電極をバインダー(有機接着剤)なしの工程で作製しました。さらにそのGe層をカーボン層で挟み込む負極構造を考案しました。底のカーボン層は銅の集電極と良好な界面を形成し、また、最上位のカーボン層は電解液と良好な界面を形成すると考えられます。このようにLiを充電するGeの両界面をカーボン層で制御したC/Ge/C多層負極を開発してLiイオン電池を評価したところ、910 mAh/g以上の高い容量を90サイクル以上劣化なく維持することに成功しました。この結果は両カーボン層によりGe材料の機械的劣化と化学的劣化が抑制されたことを示唆します。
このように今回、高容量化が期待できるGe半導体と劣化に強いカーボンを上手に組み合わせプラズマ技術で界面を制御することにより、電池の高容量かつ長寿命を実証しました。今後、この負極構造技術を全固体Liイオン電池に展開していくことが期待できます。
名城大学ではノーベル化学賞を受賞した吉野彰終身教授が開発したLiイオン電池研究を大きく展開するとともに、カーボンニュートラル研究推進機構*を中心に脱炭素社会を目指した研究開発を積極的に推進しています。


*名城大学 カーボンニュートラル研究推進機構
https://sangaku.meijo-u.ac.jp/carbonneutral/


【論文タイトル】
Development of nanostructured Ge/C anodes with a multistacking layer fabricated via Ar high-pressure sputtering for high-capacity Li+-ion batteries
高容量Liイオン電池のための高圧Arスパッタリング法を用いたナノ構造Ge/Cマルチ積層負極の開発

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