IoT技術を活用した地方社会の課題解決促進に向けた野生鳥獣対策作業効率化の実証実験に成功 ~IoT端末に実装可能な拡張低レイヤデータ通信技術を開発~
Digital PR Platform / 2024年3月22日 15時5分
2.実証実験の内容・成果
野生鳥獣対策では、主に下記3点(A罠設置、B見回り、C捕獲)の作業が必要になります。Aにおけるおおまかな罠設置エリアの情報は一般的に狩猟コミュニティ内で共有されている一方、現場で実際に罠を仕掛ける具体的な場所や個数は、現場の獣道の状況、野生鳥獣の足跡や糞などの痕跡から、設置する各々の猟師が判断します。猟師の高齢化、および担い手不足が問題となっている現状において、より持続的に地域の猟師による野生鳥獣対策を実現していくには、技術の活用により一人一人の猟師にかかる負担軽減を進めていく必要があります。将来的に、猟師の負担軽減を実現するには、Bで行う毎日の見回りを多くの猟師で分担する必要があり、罠を設置した猟師とは別の猟師が見回りを行うケースが必要となってきます。このため、罠設置場所の詳細を把握していない猟師においても、山林の罠設置ポイントにおいて効率的に罠を発見し、さらには一定期間捕獲ができていない罠の再設置を効率的に行える仕組みが必要となっています。これまでに既製品のIoT端末を使って野生鳥獣対策の効率化を試みているケースが報告されていますが、罠ごとに設定を手動入力する必要があること、IoT端末の設定が煩雑であることなど、運用面での課題がありました(図1、図2)。
◆野生鳥獣の捕獲フロー
A: 山林を回りながら、各罠設置エリアに対して複数の罠を設置
B: 毎日山林を見回り、Aで仕掛けた罠の状態をチェック/回収/再設置
C: 野生鳥獣を捕獲
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/85298/700_333_2024032208581265fcc994e75ea.JPG
[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/85298/700_263_2024032208581365fcc9956ec55.JPG
野生鳥獣対策作業の効率化評価を目的として、日々の設置罠見回り作業中の①罠探索、および②罠再設置に対する作業効率化の効果を検証しました(図1、図3、図4)。今回の実証実験では、おだわらイノシカネットとジャパン・マルチハンターズが狩猟を行う小田原市の山林において、NTTが開発したIoT向け拡張低レイヤデータ通信技術を、VTJの屋外設置型IoT端末に実装した罠センサ、および罠センサから送信される位置情報を元に設置方向を表示する罠探索キットを用意し、作業効率化の評価を行いました。
①罠探索作業における評価では、罠設置エリアに4個の罠センサを仕掛けた条件において、罠の場所を知らない被験者が、既存技術(BLEビーコンと既存アプリを用いた探索)と本技術(NTT提案技術と探索キット)を用いた場合における罠発見時間の比較を行いました。既存技術を用いた場合、4個すべての罠の発見に平均32分56秒を要したのに対し、本技術を用いた場合では、平均14分7秒に短縮でき、57%の作業時間効率化を達成できました。
また、一定期間捕獲できていない②罠再設置作業における評価では、手作業で行っていた従来の方法では1個の罠あたり10分12秒の作業時間を要していたのに対して、本技術を用いた場合では1台あたり1分32秒に作業時間を短縮でき、85%の作業効率効果が確認できました。本成果は、技術的観点では、処理リソースが限られるIoT端末に対し本技術を実装した場合においても、実フィールドで要求される性能を十分に発揮できることを示しています。また、猟師の見回り作業効率化の観点では、罠の設置位置を把握していない複数の猟師による日々の①罠探索と②罠再設置の作業分担が可能となり、狩猟コミュニティ全体での狩猟フローの効率化が期待できます。
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