目先のことを過大評価してしまう人間の行動を分析し最適な介入を導出する数理モデルを開発 ~シミュレーション実験の計算コストをかけずに、個人の目標達成の成功を支援~
Digital PR Platform / 2024年4月19日 15時7分
4.今後の展開
本成果は現段階では理論的なものであり、今後は現実の目標達成タスクにおけるデータを用いてモデルの有効性の検証を行っていきます。さらに、人間は現在バイアス以外にも様々な認知バイアスを持っており、これらを考慮するために社会科学や心理学、行動経済学などの人間行動に関する科学的知見を組み込んで、より人間らしいふるまいを模倣する数理モデルにしていくことを目指します。また、ヘルスケア分野だけではなく、教育・財産といった分野の社会の本質的な価値に関わる意思決定を支援するシステムに技術を組み込んでいくことを目指します。
【用語解説】
※1 現在バイアス
直近得られる利益を、将来得られるより大きな利益よりも過大評価する傾向のこと。現在バイアスが引き起こす現象の一例として、ダイエットをしようとしている人が、長期的な健康や体重現状を達成することよりも目の前のご馳走を優先してしまいダイエットに失敗してしまうことなどが挙げられる。
※2 認知バイアス
物事を判断する際に,無意識のうちに非合理的な判断を下してしまう心理現象のこと。人間は様々な認知バイアスの影響下にあるとされる。代表的な例として、自分の信念や仮説を支持する情報には注意を払いそれ以外の情報は無視してしまう確証バイアスや、自分にとって思い出しやすい経験や情報を過大評価してしまう利用可能性ヒューリスティック、損失を被ることを過度に恐れる損失回避性などが挙げられる。
※3 数学的に閉形式で書き下す
対象の挙動を、有限個のよく知られた関数を用いて書き表すこと。閉形式で書き表されている対象は、直接計算が可能であり、反復計算や近似やシミュレーションを行うことなくその性質を調べることができる。
※4 目的関数
数理最適化問題において、解の良さを評価するための値のこと。数理最適化技術では、目的関数を最大化または最小化するような解を探すことで、価値の高い方策を見つけ出す。例えば、東京から横浜への交通ルートを探す問題を考えると、目的関数を所要時間にすれば所要時間が最小になる交通ルートが探索され、目的関数を費用にするとかかる費用が最小になる交通ルートが探索される。
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