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十分な水分摂取は腸内細菌叢と免疫系の恒常性を維持し腸管感染症に対する防御能を高める--腸内環境の維持に飲水が重要であることを発見--北里大学

Digital PR Platform / 2024年5月21日 14時5分

■今後の展開
 成人が1日に必要とする水分量は2.5Lと推定されています。しかし、米国では成人の半数以上が水分摂取基準を満たしておらず、日本においても多くの人が水分摂取不足であると推定されています。飲水不足については、代謝性疾患など、多くの疾患との関連性が指摘されています。本研究では、慢性的な飲水不足が便秘症を誘発すること、腸内細菌叢の構成や数を変化させること、Th17細胞などの免疫細胞を減少させること、さらに、病原細菌の排除能を低下させることがマウスを用いた研究で明らかになりました。今後は、水分摂取量の低下が実際にヒトにおいて腸管感染症や腸管関連疾患の病態に影響するかどうか、検証していく必要があります。日常的な水分摂取量と消化器系疾患との関連性について明らかにしていくことが、水分摂取の潜在的な重要性を腸内環境の恒常性維持という観点から理解する上でとても大切です。


■論文情報
【掲載誌】iScience (Cell Press)
【論文名】Sufficient water intake maintains the gut microbiota and immune homeostasis and promotes pathogen elimination
【著 者】Kensuke Sato, Mariko Hara-Chikuma, Masato Yasui, Joe Inoue*, Yun-Gi Kim*(*責任著者)
【DOI】10.1016/j.isci.2024.109903


 本研究は、JSPS科研費 JP23H02718, JP 23K18223, JP20H0349、次世代研究者挑戦的プログラム(JPMJSP2123),Sylff Associationヤングリーダー奨学基金プログラム,Sylff Research Grant (2346),山形県鶴岡市の助成を受けたものです。


■用語解説
※1 腸内細菌叢:
 ヒトの大腸には数百種類、約30兆個の細菌が存在し、互いに作用し会いながら複雑な生態系をなしている。この細菌の生態系を腸内細菌叢と呼び、さまざまな生理機能や疾患への関連性が報告されている。
※2 Th17細胞:
 腸管粘膜や上皮組織において炎症性サイトカインを産生し 病原体の排除など感染防御や上皮バリア機能を維持する免疫細胞。
※3 アクアポリン3 (Aquaporin 3; AQP3):
 細胞膜を通じて水や一部の分子を選択的に輸送するチャネル。アクアポリン3は特に皮膚や腎臓、消化管などに高発現しており、体内の水分バランスを維持するために重要な役割を果たしている。
※4 CD4+ T細胞:
 さまざまなサイトカインを産生して、B細胞を活性化・抗体産生を誘導するなど、免疫応答の重要な役割を担っている。産生するサイトカインによってTh1、Th2、Th17、制御性T細胞に大別される。
※5 Citrobacter rodentium:
 ヒトに感染する腸管病原性大腸菌や腸管出血性大腸菌と同一の病原遺伝子を持つ病原性細菌であり、大腸炎を誘導する。排除には宿主のTh17細胞が重要な役割を担うことが報告されている。
※6 RORγt:
 Th17の分化と機能の制御に主要な役割を担っている転写因子。


■問い合わせ先
【研究に関すること】
 北里大学薬学部微生物学教室
 教授 金 倫基
 e-mail:kim.yungi@kitasato-u.ac.jp

【報道に関すること】
 学校法人北里研究所 総務部広報課
 TEL:03-5791-6422
 e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp



【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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