【東芝】気象予測とAI技術で風車付近の地形効果を考慮した高精度な風力発電量予測技術を開発
Digital PR Platform / 2024年5月22日 11時32分
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2024-5-22
株式会社 東芝
気象予測とAI技術で風車付近の地形効果を考慮した高精度な風力発電量予測技術を開発
~精度の高い風力発電量予測により再生可能エネルギー電源の安定的な運用を支援~
概要
当社は、風力等の天候の影響を受けて変動する風力発電量を高精度に予測する技術を開発しました。本技術は、風力発電所の地形を考慮して風力を算出する気象予測や独自のAIを組み合わせることで、従来難しかった発電量予測の高精度化を実現します。本技術は、風力発電事業者による正確な発電計画の作成を支援し、風力発電の導入拡大および再生可能エネルギーの安定供給に貢献します。
また、東芝エネルギーシステムズ株式会社(以下、東芝ESS)および東芝ネクストクラフトベルケ株式会社は、両社が採択された経済産業省実証事業「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」(*1)において、2023年12月~2024年1月までの期間を中心に、本技術の検証を行いました。検証の結果、前日朝のタイミングでの風力発電の平均予測誤差(*2)は前年度の実証の平均誤差と比べ6%以上改善した10.1%となり、高い予測精度であることを実証しました(*3)。本技術は、東芝ESSとドイツのネクストクラフトベルケ社が共同開発した再エネバランシングシステム「REBSet®」に搭載され、発電事業者やアグリゲーターに向けたサービスで活用される予定です。
開発の背景
カーボンニュートラル社会を実現するため、再生可能エネルギー電源の導入が急速に進められています。その中で、陸上風力は国内ですでに約5GWが導入され、洋上風力においても促進区域(*4)が設定されるなど、風力発電は今後の導入拡大が見込まれています。風力発電事業者は、電力の安定供給のために正確な発電計画の提出(*5)求められますが、風力発電は天候、特に風速によって出力が左右されるため、正確な発電計画を作成することが困難です。発電計画と発電実績が一致せずに乖離(インバランス)が発生すると、発電事業者はペナルティとしてインバランス料金を清算することとなり、費用負担が生じます。そのため、風力発電量予測の高精度化が求められています。
本技術の特徴
そこで、当社は風力発電量を高精度に予測する技術を開発しました。本技術は、気象予測技術とAI技術を組み合わせることで高精度化を実現しており、次の3つの特長を持ちます。
1つめは、独自に運用する気象予測システムにより、風車付近の地形効果を考慮して高度ごとの風速予測データを算出します。2つめは、過去の風速観測データをAIにより学習し、発電量予測に重要なナセル(*6)付近の風速を風向に応じて補正します(風速補正AI)。さらに風車ごとに、風速と風速ごとの発電量の実績データから、風速と発電出力の関係を示すパワーカーブ(風力発電機の出力特性)を学習します(出力特性学習AI)。そして、風速補正AIが出力した風速と出力特性学習AIで学習したパワーカーブを用いて発電量を予測します。3つめは、2つめに示した発電量予測モデルの発電量予測値と、他の予測モデルによる発電量予測値を混合(アンサンブル)し、予測誤差の傾向を日々学習しながら予測手法の混合比率を調整することで予測精度を高めます。
以上の特長を持つ「風力発電量予測AI」により、高い予測精度を実現しました。
この風力発電量予測技術は、「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」で活用されました。その結果、前日朝のタイミングでの風力発電の平均予測誤差は10.1%となりました。昨年度に行われた「令和4年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」で使用した既存の風力発電量予測技術は平均予測誤差が17.3%であり、大幅に予測精度を改善しました。
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