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【京都産業大学】神山宇宙科学研究所 世界一の高感度を誇る近赤外線高分散分光器WINEREDの近況:新しい研究成果が続々と論文に!

Digital PR Platform / 2024年5月22日 14時5分

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京都産業大学 神山天文台が東京大学大学院や関係企業と協働で開発を続けている近赤外線高分散分光器WINEREDは、現在、チリ共和国のラス・カンパナス観測所で口径6.5メートルのマゼラン望遠鏡に取付けられ、世界最高レベルの赤外線観測機器として活躍を続けている。通常、毎年2回、主に春と秋に2週間程度の期間を設けて観測を実施しており、今年は4月15日~30日に今春の観測を実施し、無事に終了した。今回は悪天候にも悩まされたが、晴れた夜に良い観測データを取得することができた。次回は9月を予定している。




神山天文台が開発した近赤外線高分散分光器WINEREDは、さまざまな原子や分子の吸収線・輝線が密集する波長1ミクロン付近で高い波長分解能を発揮する、天体観測用分光器である。世界一の高感度を誇っており、口径6.5メートルのマゼラン望遠鏡との組み合わせにより、さまざまな天文学的テーマにおいて利用されている。

【主なテーマをピックアップ】
1.セファイド型変光星を用いた天の川銀河における化学進化の解明
2.太陽系外惑星の大気金属量と大気散逸の関係解明
3.原始惑星系円盤におけるガス散逸過程の解明

これらの研究成果以外にも、マゼラン望遠鏡を用いた天の川銀河中心付近の球状星団の観測成果(Minniti et al. 2024)や、WINEREDがマゼラン望遠鏡に移設される以前に運用されていた口径3.6メートル・NTT望遠鏡(チリ共和国、ラ・シヤ観測所)での観測成果(Mizumoto et al. 2024)、WINEREDで得られる複雑な観測データを研究者が利用しやすいスペクトルのデータに整えるためのソフトウェアWARPの開発論文(Hamano et al. 2024)など、続々とWINEREDに関連する研究成果が論文として出版されている。マゼラン望遠鏡での観測は高地であるため非常に厳しい環境での観測準備が必要であるが、そうした準備や装置の維持管理は天文学者だけでは不可能で、毎年の春・秋の観測シーズンごとに、日本から神山天文台の技術系スタッフが1~2ヶ月ほど観測のサポートや装置更新に赴いている。さまざまな立場のスペシャリストが協力することではじめて、学術成果が得られている。
波長0.9~1.35ミクロンにおける精密な高分散分光観測を可能としたWINEREDは、今後も天文学研究に大きな革新をもたらすことが期待される。

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