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【名古屋大学】(世界初)地震後の地下岩盤亀裂の急速シーリングに成功!~化石ができる仕組み応用、放射性廃棄物やCO2の地下貯留も可能に~

Digital PR Platform / 2024年5月23日 14時5分


開発した技術は、液体タイプとマイクロカプセル(粒子)タイプの両方があり、液体タイプはそのまま岩盤亀裂に注入が可能であり、またマイクロカプセル(粒子)タイプは従来のセメントミルクと併用して岩盤内部の微小亀裂に注入することも可能です。これらコンクリーション化剤は、従来のセメントのみを用いる物理的なシーリング剤の圧入法に対し、元素の拡散・沈殿によるシーリング法であり、ミクロンサイズ以下の極微細な岩盤空隙までシーリングすることも可能です。とくに元素の濃度拡散による空隙シーリングのため、地下岩盤中での高圧の間隙水圧による影響を考慮する必要はなく、また従来のような高圧注入による岩盤の物理的な破壊・ダメージとは無縁であり、これらの問題を克服することができます。


さらには「コンクリーション化剤」による炭酸カルシウム結晶(鉱物)形成後も、地下水中の自然由来重炭酸イオンやカルシウムイオンとの反応により結晶が持続的に成長し、シーリング効果が長期的(理論的には半永久的)に維持されます。このようなコンクリーション化によるシーリング手法は、放射性廃棄物の地下隔離・処分、二酸化炭素の地下貯留、石油の廃孔シーリングのほか、トンネル周辺岩盤の地下水抑制などといった地下環境を活用する様々な技術のほか、地上付近の様々なインフラの亀裂補修(地下水との反応抑制)応用することができ、今後の幅広い技術への展開が可能です。


本研究は、日本原子力研究開発機構、積水化学工業(株)、中部電力(株)との共同研究のもと、積水化学工業からは「積水化学 自然に学ぶものづくり助成研究プログラム」の助成を受け、また中部電力とは2021年度から始まった『原子力安全技術研究所特定テーマ公募研究』における共同研究として実施しています。併せて、科研費18H03893, 23H00280および2021年度からの経済産業省資源エネルギー庁委託事業「高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地層処分施設閉鎖技術確証試験)」の一部で行われたものです。


【用語説明】
注1)球状コンクリーション:
炭酸カルシウムを主成分とし、保存良好の化石を内包する球状岩塊のことを言う。海底で堆積した地層中で形成されるもので、メートルサイズでも数年程度であることが明らかとなった(図2、3参照)。

注2)方解石:
炭酸カルシウム(CaCO₃)を成分とする鉱物。貝殻や石灰岩などの主成分と同じ。地下水中にカルシウムイオンと重炭酸イオンが過飽和になると速やかに沈澱し、結晶を生成する。地球上にも普遍的に存在するイオンであり、また鉱物としても岩石中に普遍的に存在する。

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