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「テルル」を含む食品摂取と高血圧の新しい関係

Digital PR Platform / 2024年5月28日 10時20分

本研究成果は国際学術誌『Environment International』の2024年5月12日付電子版に掲載されました。

1.背景 
微量のテルルは土壌に広く分布する元素(≒ミネラル)で、根菜類や穀物などの作物でも検出されることが報告されています。このため、人々は普段の食生活を通じて日常的にテルルに曝露される可能性があります。実際に今回の調査でも87%の研究参加者の尿中でテルルが検出されました。しかし、私たちが日常的にどの食品の摂取を通じてテルルに曝露されているのかに関する具体的な情報は極めて限られていました。さらに、テルル曝露が、私たちの健康にどのような影響を与えるのかについても、不明な点が多くあります。本研究では、日本住民(成人)を対象とした疫学研究により、テルル曝露・高血圧・食生活の相関関係を疫学的に検討しました。


2.研究成果
本研究では、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC 研究)の一地区である大幸研究の第二次調査の参加者2,592人を研究対象としました。はじめに、尿中のテルル濃度と血圧との関係性を多変量線形回帰分析(*1)で解析したところ、尿中のテルル濃度の増加に伴って、収縮期血圧と拡張期血圧が上昇し(図1)、高血圧有病率も増加することがわかりました。

[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2299/88892/300_188_2024052810064166552e213afc2.jpg


次に、食事摂取頻度調査票(*2)で得られた回答結果を食品群ごとに集計し、尿中のテルル濃度との関連性を調べました。穀類/豆類の摂取頻度が尿中テルル濃度と正の関係性を持つことが示されました(図2A)。また、穀類/豆類の摂取は他の食品群と比較しても、尿中テルル濃度に最も大きな影響を与える要因であることが示されました(図2B)。

[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2299/88892/600_251_2024052810064166552e2146c36.jpg


穀類/豆類の摂取がテルル曝露を増加させる可能性が示されたので、これが高血圧とどのように関連するのかを調べました。媒介分析(*3)を用いた解析により、穀類/豆類と高血圧有病率との関係において、尿中テルル濃度の増加を介した高血圧の有病率が上昇しました(図3)。さらに、疫学研究で得られた「テルル曝露による血圧の上昇」は、動物(マウス)に推定ヒト相当量のテルルを投与することで検証されました。これらの成果は、穀類/豆類の過剰摂取は、テルル依存的に発症する高血圧のリスクを高める可能性があることを部分的に示しています。一方、穀類/豆類の食品摂取が、テルル以外の要因を含めた高血圧のリスクを高めることはありませんでした。これは、穀類/豆類が、テルルとは逆に、高血圧リスクを緩和できる作用を持つ成分も多く含んでいる可能性を示しています。

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