【武蔵野大学・明治薬科大学・帝京大学 共同プレスリリース】白癬菌の爪における増殖を抑制する新たな分子標的を発見
Digital PR Platform / 2024年6月14日 14時5分
武蔵野大学薬学部薬学科(東京都西東京市、学長:西本 照真)の大畑 慎也准教授と石井 雅樹講師は、明治薬科大学(東京都清瀬市、学長:越前 宏俊)の松本 靖彦准教授及び帝京大学(東京都板橋区、理事長・学長:冲永 佳史)の医真菌研究センター 山田 剛准教授との共同研究により、水虫の原因真菌である白癬菌の菌糸成長に必要な分子を特定し、その阻害剤がヒトの爪における白癬菌の増殖を抑制することを、アメリカのCell Pressが出版するiScience誌に報告しました。
本研究は、白癬菌に対する新たな治療薬の発見に繋がるものと期待されます。
本研究成果は、国際連合が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、「3.すべての人に健康と福祉を」に貢献するものです。
【本研究成果のポイント】
● 白癬菌の低分子量Gタンパク質Cdc42及びRacの菌糸成長における必要性を解明
● 真菌Cdc42及びRac阻害剤による、爪における白癬菌の増殖抑制効果を発見
【本研究の背景】
白癬(はくせん)(水虫)は、国民病とも言われ、日本人の足(あし)白癬(はくせん)の罹患率は21.6%と推計されており*1、日本の人口が1億2000万人であることから、罹患者数は2500万人以上に上ると推測されます。水虫を含む真菌(カビなど)による感染症の治療薬はその数が限られており、新たな治療標的の発見とそれを標的とした薬剤開発が求められています。
【研究の内容と結果】
(1)白癬菌の低分子量Gタンパク質Cdc42及びRacの菌糸成長における必要性を解明
白癬菌の成長に必要な分子を探索するため、生物一般の細胞機能制御に必須のタンパク質である低分子量Gタンパク質に着目して研究を進め、事前の検討によりGタンパク質Cdc42及びRacが菌糸成長を促進することが示唆されました。そこで、遺伝子組換え技術を用いて、Cdc42の発現量の抑制に加えてRacを欠損させたところ、野生株(遺伝子組換えをしていない元の菌株)と比べて、顕著に培地*2上での成長が抑制されることが分かりました(図1)。
Gタンパク質はその名にGとあるとおり、核酸のRNAを合成する基質である"G"TPと、そこからリン酸基が一つとれた"G"DPと結合します。GTPに結合すると細胞内シグナルをONに、GDPと結合すると細胞内シグナルをOFFにする細胞内シグナルのスイッチとして機能しており、このスイッチを切り替えることで、例えば増殖のONとOFFが切り替わります。このONとOFFのスイッチの切り替えを担うタンパク質がGuanine nucleotide exchange factor (GEF)です。タンパク質のアミノ酸配列情報を基に白癬菌Cdc42及びRacのGEF(Cdc24)を特定し、その発現を抑制すると、菌糸成長が顕著に抑制されるとともに、細胞の形態や細胞の骨格タンパク質アクチンの局在に異常をきたし、死細胞が増加することが明らかになりました(図2)。
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