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【名城大学・北海道大学】インプラント周囲炎に対する光応答性ナノ複合体を開発~インプラント周囲炎の新しい治療法への応用に期待~

Digital PR Platform / 2024年6月26日 20時5分


【研究手法】
カーボンナノホーン(CNH)は、生体適合性が高く、様々な薬物を内部に包接できる構造をしている炭素ナノ材料です。また、近赤外光は組織透過性が高いことで知られており、CNHは近赤外光をよく吸収するという特徴があります。研究グループではこれまで、CNHを用いたインプラント材料などの研究開発を行い、骨との適合性が高いことを報告してきました。
CNHの上記のような特徴を利用して、抗菌薬であるミノサイクリン(MC)と複合し、近赤外光による抗菌作用増強を図りました。しかしながら、CNHとMCは強固に結合しているため、近赤外光を照射しても抗菌作用には変化がありませんでした。そこで、医療分野で幅広く利用されているヒアルロン酸(HA)とCNHを複合化し、MCを担持させたMC/HA/CNHを開発しました。このMC/HA/CNHにインプラント周囲炎の原因菌の一つであるA.a菌(*7)を播種し、近赤外光を照射した後の細菌生存率をMC単独の場合と比較しその有効性を検討しました。


【研究成果】
MC/HA/CNHの細菌生存率は近赤外光非照射下では約40%であり、MC単独(0.5 mg/mL相当濃度)とほぼ同等でした。しかし、近赤外光照射では生残細菌は検出されず(0%)、抗菌効果が大幅に増強されたことが確認されました。(図2、図3)
さらに、MC/HA/CNHを48時間透析した後でも、近赤外光照射下では生残細菌は検出されませんでした(図3)。これらの結果から、近赤外光照射によりCNHの光熱効果が引き起こされるとともに、CNH表面のHAからMC放出が促進され抗菌作用が増強されることが示されました。


【今後への期待】
少量の抗菌剤で持続的な効果を得ることは、薬剤耐性菌の出現抑制や副作用の低減に有利です。本研究で開発したMC/HA/CNHは、低濃度のMC投与で持続的な抗菌効果を得ることができます。すなわち、近赤外光とMC/HA/CNHを組み合わせたこの新しい治療法は、単回の薬剤投与後インプラント周囲粘膜を透過して近赤外光を複数回照射することにより、持続的な薬効を得ることを可能とします。この光応答性ナノ複合体は、今後のインプラント周囲炎治療やインプラント治療の発展に貢献することが期待されます。


【謝辞】
本研究は、⽂部科学省科学研究費助成事業(JP23K09266、JP21H01753、JP22K19609、JP24K1299)、花王Crescent awardの⽀援を受けて実施されました。

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