妊婦の⾎中重⾦属濃度と⽣まれた⼦どもの川崎病発症との関連について
Digital PR Platform / 2024年6月28日 14時0分
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
京都⼤学大学院医学研究科 薬剤疫学分野特定助教の矢内貴憲、横浜市⽴⼤学⼤学院医学研究科 発⽣成育⼩児医療学教授の伊藤秀⼀、神奈川ユニットセンターらの研究チームは、エコチル調査の約10万組の親⼦のデータから、妊婦の⾎中重⾦属濃度と⽣まれた⼦どもの川崎病発症との関連について解析をしました。その結果、妊婦の⾎中重⾦属濃度は、⽣まれた⼦どもの川崎病発症と関連が認められませんでした。この結果により、川崎病の発症原因に関する研究が発展することが期待されます。
本研究の成果は、令和6(2024)年4月30日付でSpringer Nature社から刊⾏される学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
※本研究の内容は、すべて著者の意⾒であり、環境省及び国⽴環境研究所の⾒解ではありません。
1.発表のポイント
川崎病は小児に発症する全身の血管炎であり、原因が明らかとなっていません。眼充血・口唇発赤・発疹などの症状が水銀中毒と類似する点や、魚を食文化とし血中重金属濃度が高いアジア地域に発症者が多い点などから、重金属と川崎病との関連性が指摘されてきました。
今回、妊婦の⾎中重⾦属濃度が、子どもの川崎病発症にどのように影響するかを検証しました。
結果、妊婦の⾎中重⾦属濃度によって1歳・2歳・3歳の各時点での川崎病発症の頻度は変化せず、関連性はないものと結論づけました。
2.研究の背景
子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、「エコチル調査」)は、胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、平成22(2010)年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した、大規模かつ長期にわたる出生コホート調査です。さい帯血、血液、尿、母乳、乳歯等の生体試料を採取し保存・分析するとともに、追跡調査を行い、子どもの健康と化学物質等の環境要因との関係を明らかにしています。
エコチル調査は、国立環境研究所に研究の中心機関としてコアセンターを、国立成育医療研究センターに医学的支援のためのメディカルサポートセンターを、また、日本の各地域で調査を行うために公募で選定された15の大学等に地域の調査の拠点となるユニットセンターを設置し、環境省と共に各関係機関が協働して実施しています。
川崎病は主に5歳以下の小児に発症する全身の血管炎で、原因は不明です。症状は眼充血・口唇発赤・全身の発疹を特徴とし、これらの症状が水銀中毒に類似している点が1970年代より指摘されてきました。また、年間有病率(10万人あたり)は、日本で330.2人(2015年)、台湾で69.0人(2006年)とアジア人かつ海沿いの地域に発症者が多く、その中でも日本が最多です。海沿いの地域では特に、魚を食文化に取り入れているため、血中重金属濃度が高く、発症に影響しているのではないかとの指摘もありました。今回、私たちの研究チームでは、エコチル調査のデータの中から、妊婦の⾎中重⾦属濃度を指標として、⽣まれた⼦どもの川崎病発症との関連について解析を⾏いました。
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