「5本の樹」計画の在来種中心の植栽がウェルビーイングの向上に寄与 東京大学と積水ハウス、生物多様性と健康に関する共同研究についての最新分析結果を発表
Digital PR Platform / 2024年7月9日 14時30分
(1)在来種を中心とした植栽によるウェルビーイングの向上
今回の分析で、庭の在来樹種数が増えることで多様な生きものを呼び込み、敷地内での生きもの(鳥・昆虫)とのふれあい頻度が高まり、それが住まい手のウェルビーイングの向上(幸福感・人生の充実度の向上、鬱症状の低下)に寄与し得ることが分かりました。
ウェルビーイング向上の程度を詳しく見ると、例えば鬱症状の場合、身近な生きもの(主に鳥)を見たり鳴き声を聞いたりする頻度が「全くない」から「よくある」に増加すると、鬱症状の発症リスクが54%から34%に減少する(20pt減る)ことが推定されました。鬱症状は様々な環境・社会経済的要因に影響されるため、この変化が住まい手個人のウェルビーイングに与える影響は決して小さくありません。
こうした効果は住まい手個人だけでなく社会的にも重要です。例えば、日本における鬱病性障害の疾病費用は、医療費に加え非就業費用等の間接経費も含めると、年間約3.1兆円(*³)と推定されています。生きものとのふれあいによる鬱症状の発症リスク低減効果はこれらの疾病費用削減にもつながるため、大きな経済効果を持ちます。
(2)在来種を中心とした植栽による環境配慮意識の高まり
さらに(1)と同様に、庭に植えられている在来樹種数が増えることで、身近な生きもの(主に昆虫)を見たり声を聞いたりする頻度が高い人ほど、自然の価値をより認識したり高い環境配慮意識を持つことも推定されました。こうした意識の変化は環境保全に対する前向きな行動にもつながり得ることから、国内外の環境保全政策(生物多様性国家戦略等)が推進する行動変容・社会変革に向けた重要なステップとなり得ます。
[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2677/91195/700_128_202407051912166687c700c29e2.jpg
図1. 庭における在来種を中心とした植栽によるウェルビーイングおよび環境配慮意識の向上
[画像4]https://digitalpr.jp/simg/2677/91195/600_338_202407051912126687c6fc7d9a6.jpg
図2.(左)身近な生きもの(鳥)とのふれあいが鬱症状の発症リスクに及ぼす影響
(右)身近な生きもの(昆虫)とのふれあいが環境配慮意識に及ぼす影響
(縦軸は自然破壊への懸念を示す回答選択肢を選んだ確率)
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