【大阪産業大学】草場教授研究室の研究グループが英国の物理学会誌「Journal of Physics D: Applied Physics」にオンライン公開されました
Digital PR Platform / 2024年7月11日 14時5分
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ナノ秒紫外レーザーにより20 nmの先端をもつナノ構造を高密度にシリコン太陽電池表面に形成
― 高効率のシリコン太陽電池開発を目指して ―
本研究成果は2024年6月27日(現地時間)に英国の物理学会誌「Journal of Physics D: Applied Physics」にオンライン公開されました。
大阪産業大学の草場光博 教授、卒業生 平井健太さん、田中朋世さん、堤大輔さん、東海大学/京都大学の橋田昌樹 教授、核融合科学研究所の坂上仁志 名誉教授らの研究グループが、ナノ秒紫外レーザーによりシリコン太陽電池表面に20 nm程度の先端を有するナノドット構造形成に成功しました。特にレーザーを融解閾値以下のフルエンス1)に調整し照射することで、回折限界2)よりもはるかに小さい大きさの構造(レーザー波長の1/12以下)を均一かつ高密度に材料表面に形成するレーザー超微細加工技術を開発しました。ナノドット構造をもつシリコン太陽電池は、①反射率を5%程度に低減、②構造の先端に圧縮応力を付与、③バンドギャップを高く制御できることから、量子閉じ込め効果によりシリコン太陽電池の高効率化を加速する技術として期待されます。本成果は、表面構造をもつシリコン太陽電池にレーザー超微細加工することで、これまで未解明とされてきたナノ微細構造形成メカニズムにおいて新しい知見を示しており、更に小さい構造を様々な固体材料に付与できる可能性を秘めています。本技術は、これまで実現が不可能とされてきた数十nmの加工サイズをレーザーにより実現する新しい技術であり、様々な固体に短時間に大面積に形成できることから最先端ものづくり技術としてSociety 5.0実現を最大化する強力なツールになると期待されます。
【概要】
材料の表面にナノ微細構造を形成させることで撥水性、抗菌性や無反射性など材料に機能性を付与させることができます。再生可能エネルギーとして広く使用されているシリコン太陽電池では、現在、シリコン表面に1~10 μmの大きさをもつピラミッド構造を形成させることで、太陽光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率がおよそ20%となっています。変換効率をさらに向上させるためには、太陽光スペクトルの最大強度となる500 nm付近での太陽光をさらに太陽電池に吸収させるために数100 nm以下の大きさのナノ微細構造をピラミッド構造表面に形成させる必要があり、モスアイ構造、ポーラス構造やレーザー誘起周期構造(LIPSS)が有望であると期待されています。特にシリコン太陽電池表面上でのLIPSSは、他の方法と比較して時間の節約や結晶性の保持ができる利点があります。そこで我々は融解閾値フルエンスが0.5 J/cm2以下のXeClエキシマレーザーパルスを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面にLIPSSを形成させることに成功し、反射率の減少はLIPSSの間隔と強く関係すること、LIPSSが形成された後もシリコン太陽電池の結晶性が保持されていることを報告してきました。
反射率をさらに低減させるためには、屈折率が上部から下部まで連続的に変化する三角形のナノドット構造(微小突起構造)を作製する必要があります。今までにナノドット構造の形成に関する研究はいくつかありますが、シリコン太陽電池の反射率低減に最適なナノドット構造の形状、大きさおよび密度ではありませんでした。
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