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世界で初めてトポロジーの原理を利用したギガヘルツ超音波回路を実現 ~無線通信用高周波フィルタの小型・高性能化に向けた要素技術を実現~

Digital PR Platform / 2024年7月16日 15時8分


[画像4]https://digitalpr.jp/simg/2341/91659/700_251_202407161114506695d79abe1ed.PNG

図4:(a) トポロジカルリング・導波路複合系における導波路出力部での周波数応答。0.495 GHz付近で出力が大きく低下するフィルタリング効果が起きています(赤矢印)。(b) 超音波フィルタの原理を示した模式図。反射なく超音波がリング内を周回することで、リングと導波路の波が干渉し、導波路を進む超音波が抑制されます。(c) 周波数0.495 GHzでの超音波の空間伝搬の計測結果。超音波のフィルタリングにより、導波路における超音波の出力が大きく低下します。

3.技術のポイント
①トポロジカル導波路構造に対する最適化設計手法の適用
 岡山大学が有する音響トポロジカル構造の設計ノウハウを活用し、半導体薄膜に3回の回転対称性をもつ孔を規則正しく並べた二次元周期弾性体から成る超音波回路をNTTが作製しました。単位セル内の空孔は、微細加工技術によって再現しやすい円形の穴が4つ組み合わさった形状をしています。さらに、それを左回りまたは右回りに回転させるだけで異なるトポロジーをもつ弾性構造を実現できます。岡山大学とNTTは、有限要素法(※4)と呼ばれる数値計算技術を用いて、様々な回転角度に対する超音波の分散関係(※5)を調査し、トポロジカル秩序と導波路の形成が両立する最適な回転角度(5°)を算出しました。この最適化手法を用いることにより、多数回の試行実験を繰り返すことなく、優れたトポロジカル回路を構築できるようになります。

②バレー擬スピン依存伝搬伝導の利用
 超音波が伝わる導波路は、トポロジーの異なる右回り(図2黄色)ならびに左回り(同ピンク色)の領域に挟まれた接合部(エッジ)で形成されています。両側のトポロジカル構造は、逆向きに回転する超音波の渦(バレー擬スピン)を持っています。そのため、エッジに侵入した超音波は、両側の渦によって押し出されるように伝わり、導波路の途中に曲がり角や欠陥があっても、反射して後方へ戻ることなく、非常に頑強で安定した伝搬を保ちます。このように、超音波渦の回転方向、つまりバレー擬スピンの極性に依存して波の伝わる方向が決まる特性を「バレー擬スピン依存伝導」と呼びます。これは、本体の形状が大きく変化しない限り、導波路エッジの伝搬は保護されるという特異な性質(トポロジカル秩序)を持ちます。

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