【東京農業大学(共同研究)】ビリン合成制御によるシアノバクテリアのフィコビリソームの機能改変
Digital PR Platform / 2024年7月26日 12時0分
今後の展望/波及効果
シアノバクテリアはCO2を固定しつつ炭素化合物を合成するため、カーボンニュートラルな次世代の有用物質生産ホストとして期待されています。フィコビリソームの機能改変を目的とした本研究は、シアノバクテリアの環境適応能や細胞機能の進化の解明に貢献できるだけでなく、地球に降り注ぐ光エネルギーを余すことなく利用するための高性能な集光システムの開発にも貢献できる画期的な成果です。
多くのフィコエリスロビリンを含みつつ、より安定な複合体を構築できれば、さらに効率よく緑色光を吸収できるようになるかもしれません。何故、フィコエリスロビリンを過剰に蓄積するとフィコビリソームが崩壊したのか、原因はまだわかっていませんが、ビリンが結合するタンパク質にその謎を解く鍵があると考えています。このように研究グループはフィコビリソームの構造的な特徴をさらに明らかにすると共に、それらの知見を活かして、自然界のフィコリビリソームを超える性能を持つフィコビリソームの創成を目指して研究を進めています。
本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)(JPMJAL1608)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)(JPNP17005)、JSPS科研費(23H02130、23K26823、24H00871)の支援を受けて実施されました。
用語注釈
*1 シアノバクテリアは藍藻とも呼ばれる原核微細藻類です。植物の葉緑体の祖先生物と考えられており植物と同様の酸素発生型光合成により増殖します。シアノバクテリアは多種多様な生物群であり海、湖沼、氷河など地球上の様々な環境に生息しています。増殖に有機炭素源を必要とせず、光合成によりCO2を吸収しながら成長すること、さらに植物よりも増殖が早いことから、持続型物質生産を可能とする次世代ホストとして世界中で注目されています。
*2 フィコビリソームは、シアノバクテリアなどに存在する光捕集システムです。光エネルギーを捕捉し、光合成の反応中心に伝達します。フィコビリソームは、タンパク質とビリンという化合物から構成されています。シアノバクテリアは環境中の光のスペクトルに応じてフィコビリソームの色素組成を調整します。これにより、シアノバクテリアは様々な光環境に適応し、光合成効率を最大限に引き出すことができます。
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