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【名城大学】海苔のもつ抗酸化作用~季節変動と加工工程による増強を発見~

Digital PR Platform / 2024年7月26日 20時5分


また、同じ生海苔から加工された乾海苔と焼き海苔の抗酸化作用を調べたところ、生海苔と比較して乾海苔では1.2倍、焼き海苔では2.7倍の活性増加が確認されました(図2)。これらの抗酸化作用の増強についても、フェノール類化合物含有量の増加と相関があることが分かりました(図2)。


【今後の展開】
海苔は日本人にとってなじみの深い食材で、抗酸化物質やMAAなどの有用成分を含有していることが知られていましたが、スサビノリが示す抗酸化作用が養殖環境に影響を受けることが本研究によって明らかになりました。また、スサビノリの有効成分が加熱処理によって増強されることは栄養学の観点からも興味深い知見です。一般的に行われている乾燥および焼き入れ以外にも、加熱を伴う調理方法によって海苔の有用作用が増強される可能性が考えられます。今回増強された抗酸化作用を担うフェノール類化合物の特定が今後の課題です。


【用語の解説】
(*1)スサビノリ Neopyropia yezoensis
現在日本で流通している海苔のほとんどを占める。日本において過去に海苔として主に養殖されていたアサクサノリは養殖が難しく、現在では限られた生産者しか養殖していない。
(*2)抗酸化活性
活性酸素を補足して消去する活性を抗酸化活性という。動物は生命活動の維持のために酸素を必要とするが、酸素の一部は体内で活性酸素に変化する。活性酸素の蓄積は、細胞膜や蛋白質の変性につながり、老化や様々な疾病に関与している。
(*3)フェノール類化合物
芳香族置換基上にヒドロキシ基を持つ有機化合物。没食子酸やブチレイテッドヒドロキシルアニソールなど多くの抗酸化能を有するフェノール類化合物が知られている。
(*4)マイコスポリン様アミノ酸(MAA)
ラン藻、微細藻類、海藻などがつくる天然のサンスクリーン剤。これまでに、60種類を超える MAA 類の化合物が報告されている。共通の基本構造にアミノ酸類が結合した化合物で、UV-A, UV-B 領域の波長を吸収するという特徴がある。紫外線吸収能の他に抗酸化作用などの有用作用を持つことが報告されている。
(*5)クロロフィル
光合成生物が光合成を行う際に光エネルギーを吸収する色素。抗酸化作用を持つことが知られている。
(*6)カロテノイド
微生物、動物、植物など多くの生物に蓄積する天然色素。抗酸化作用などの生理活性を示すことが知られている。

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