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なぜこれだけ多くの仕組みが必要なのか?〜ゲノム刷り込みの多層的な制御機構の解明〜

Digital PR Platform / 2024年7月30日 18時0分

研究内容
 本研究では、イネの胚乳における異なる発生ステージでのトランスクリプトーム解析(RNA-seq解析)を行いました。その結果、持続的にインプリンティングが維持される遺伝子(持続的インプリント遺伝子)と、特定の発生ステージでのみインプリンティングが観察される遺伝子(ステージ特異的インプリント遺伝子)に分類することができました。また、全ゲノムのDNAメチル化解析およびヒストン修飾解析を実施した結果、持続的インプリント遺伝子は、DNAメチル化やヒストン修飾の強固なエピジェネティック修飾によって制御され、一方でステージ特異的インプリント遺伝子は比較的弱いエピジェネティック修飾によって制御されていることを明らかにしました。さらには、母性インプリント遺伝子の多くはDNAメチル化によって、父性インプリント遺伝子の多くは主にヒストン修飾によって制御されることも明らかになりました(図2)。

       [画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/92420/550_148_2024073009055466a82e6249da3.jpg

図2.持続的インプリント遺伝子とステージ特異的インプリント遺伝子の制御の違い。


母性インプリント遺伝子は主にDNAメチル化によって、父性インプリント遺伝子は主にヒストン修飾によって制御される。それぞれの左側のボックスは、インプリント遺伝子の母親から継承した対立遺伝子、右側のボックスは父親から継承した対立遺伝子を示す。

 さらに、シングルセル解析を用いて、細胞特異的インプリント遺伝子の発現パターンを解析しました。この解析により、持続的インプリント遺伝子が多くの細胞クラスター*7で広範に発現しているのに対し、ステージ特異的インプリント遺伝子は特定の細胞クラスターでのみ発現していることが明らかになりました(図3)。このことは、細胞タイプごとのインプリント遺伝子の発現の違いが、胚乳発生の制御に重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。

      [画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/92420/550_239_2024073009055766a82e651b3b6.jpg

図3.シングルセル解析による細胞特異的なインプリント遺伝子の発現パターン。


左図:シングルセル解析から作成した胚乳の細胞クラスター。
右図:胚乳の細胞クラスターにおけるインプリント遺伝子の発現の偏りを示す。

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