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【東京医科大学】心筋由来の細胞外小胞が持つ抗線維化作用の発見 〜細胞外小胞を用いた心臓線維化に対する新規治療法の開発に向けて〜

Digital PR Platform / 2024年7月29日 14時5分

【東京医科大学】心筋由来の細胞外小胞が持つ抗線維化作用の発見 〜細胞外小胞を用いた心臓線維化に対する新規治療法の開発に向けて〜



東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)医学総合研究所未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門の落谷孝広 特任教授、Marta Prieto-Vila 助教(特任)(現 客員研究員)、村中麻生 客員研究員及び吉岡祐亮 講師は、分化した心筋細胞由来の細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)が心臓の線維化を改善することを明らかにし、心筋細胞由来EVsが線維化を中心とした心筋障害の新規治療薬となりうる可能性を示しました。




【概要】
 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)医学総合研究所未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門の落谷孝広 特任教授、Marta Prieto-Vila 助教(特任)(現 客員研究員)、村中麻生 客員研究員及び吉岡祐亮 講師は、分化した心筋細胞由来の細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)が心臓の線維化を改善することを明らかにし、心筋細胞由来EVsが線維化を中心とした心筋障害の新規治療薬となりうる可能性を示しました。本研究結果は、2024 年 6 月 28 日に、Journal of Extracellular Vesicles 誌 (IF 16.0) に掲載されました。

【本研究のポイント(図1)】
・成体心筋細胞は長期培養が困難でEVsの総回収量が少なくなるため、研究を行うのが困難でありましたが、低分子化合物を用いて心筋細胞の長期培養法を確立することで、大量のEVsを回収可能にしました。
・心筋細胞由来のEVsには複数の抗炎症作用または抗線維化作用を有するマイクロRNAが含まれていました。
・高血圧マウスモデルにおいて、心筋由来EVsを投与することで心臓の繊維化が改善し、心機能の回復が認められました。

【研究の背景】
 日本の死因の第1位は悪性新生物(がん)ですが、世界では死因の第1位は虚血性心疾患です。心疾患には心不全や虚血性心疾患、心筋炎など、いくつか種類がありますが、多くの心疾患において、心臓の線維化が認められます。心筋の線維化はコラーゲンや細胞外マトリックス(ECM)が細胞外に過剰に蓄積する過程で、心臓を硬化させ、心機能の低下をもたらしますので、線維化の抑制は臨床的に重要です。しかし、一度、線維化を起こしてしまうと、線維化を元の状態に戻すような治療法や薬剤は、現状ありません。
 細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)は、ほぼ全ての細胞が分泌する脂質二重膜構造を有するナノメーターサイズの微粒子です。EVsには、タンパク質やmRNA、マイクロRNAなどの機能性分子が含まれており、EVsは細胞間で受け渡されることで、コミュニケーションツールとしての役割を担っています。われわれの生体内では、EVsを介して多くの生理現象が制御されており、EVsが様々な恒常性の維持に関与することが知られています。一方で、近年では、間葉系幹細胞などの特定の細胞が分泌するEVsが抗炎症作用などを示すことから、再生医療の分野を中心にEVsを基盤とした治療用製剤の開発が盛んに行われています。
そこで、今回の研究では、心筋細胞が分泌するEVsは心筋の恒常性維持に関与する生理機能や抗線維化作用を有していると考え、心筋細胞由来EVsが線維化に対する治療薬となりうるかどうかを検証しました。

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