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機械学習により有望物質群とその設計指針を抽出

Digital PR Platform / 2024年8月7日 10時0分


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/92886/550_265_2024080513561066b05b6a91356.jpg


図 3 (a)電子系誘電率を基準として酸化物を物質群に分類した結果、(b)八面体型配位構造の指標の全データおよび有望物質群における分布、(c)有望物質群に分類された物質の例。

●社会的インパクト
 近年、材料科学のさまざまな分野でロボットやシミュレーション・プログラミング技術を用いることにより実験・計算データの生成効率が飛躍的に向上しており、大規模データベースが続々と構築されている。本手法を用いて、その都度着目すべき物質群・分類基準が示されれば、人間が理解可能な形で材料設計指針や材料科学の学理構築に寄与することが期待される。さらに材料科学以外の分野でも「ある特性・機能を考慮した上で、データの入力情報・制御因子に着目してデータを分類したい、データ群を見出したい」というニーズも多分にあると見込まれるため、本手法はより広範な科学分野に応用できる可能性を秘めている。

●今後の展開
 本研究グループは、高精度な第一原理計算により約10万物質の電子・光学的な特性を評価した大規模な計算材料データベースを保有しており、このデータベースと本手法を用いて半導体材料や光学材料の設計のための指針を提案する。また本研究では単一の物性のみを考慮したが、今後は本手法を拡張して複数の物性を勘案してクラスタリングを行うことで、より実用的な知識抽出を行う。

●付記
 本研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST(JPMJCR17J2)、日本学術振興会 科学研究費助成事業(JP20H00302、JP 21K14401)、文部科学省 データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業(JPMXP1122683430)、国際・産学連携インヴァースイノベーション材料創出プロジェクト拠点 DEJI2MA プロジェクト、KISTEC脱炭素化対策事業の助成を受けて行われた。

【用語説明】


マテリアルズインフォマティクス:材料科学における実験および理論計算の結果に対して機械学習などのデータ科学手法を適用することで、膨大な種類の材料やその性質を扱うアプローチ。
第一原理計算:量子力学の基本原理に基づいた理論計算。物質の電子構造やエネルギーを計算することにより、電子・光学・磁気特性や安定性、力学特性など非常に多様な物性や分子・結晶などの構造を予測することができる。
クラスタリング:機械学習の手法の一つで、類似した特徴を持つデータ点をグループ(クラスター)にまとめる方法。
特徴量:機械学習モデルに入力するデータの特徴を表す属性。例えば、材料科学における物性予測では、電気陰性度や近接原子間距離などの原子および原子配列の基礎的な特徴を用いることが多い。決定木予測モデル構築のアルゴリズムでは、学習データから物性予測のために適切な特徴量が自動的に選択される。
決定木:データの特徴に基づいて不等式を繰り返しながらそれぞれのデータに特性のパターンを割り当て、特性の予測を行う機械学習の手法。
one-hot encoding:カテゴリー型データを数値データに変換する手法。各カテゴリー(本研究では決定木により割り当てられたパターン)を0と1の組み合わせで表現する。
Materials Project データベース:材料科学分野の大規模オープンデータベース。第一原理計算により得られた物質の構造や特性に関するさまざまな情報を提供しており、2024年7月時点で15万種類以上の無機物質データを掲載している。(https://next-gen.materialsproject.org

matminerコード:材料データの取得、処理、機械学習用の特徴量抽出を行うためのPythonライブラリ。材料科学とデータ科学を橋渡しし、マテリアルズインフォマティクスの研究を支援するツール。(https://hackingmaterials.lbl.gov/matminer/



【論文情報】
掲載誌:Advanced Intelligent Systems
論文タイトル:Target Material Property-Dependent Cluster Analysis of Inorganic Compounds(対象物性に依存した無機化合物のクラスター分析)
著者:Nobuya Sato, Akira Takahashi, Shin Kiyohara, Kei Terayama, Ryo Tamura, Fumiyasu Oba(佐藤暢哉、高橋亮、清原慎、寺山慧、田村亮、大場史康)
DOI:https://doi.org/10.1002/aisy.202400253




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